先ごろの台風15号は進路の東側にあたった千葉県に大きな被害をもたらしました。関東圏にこれほど強い台風(955ヘクトパスカル)が上陸したのは観測史上初めてのこと。わが国周辺の海水温は過去100年で約1℃上昇しており、この暖かい海が台風にエネルギーを与えて強い勢力を保ったまま関東に接近したと見られ、専門家は温暖化の影響を指摘しています。 「気候変動への対策」はSDGsでも目標13に掲げられており、2019年9月には国連気候行動サミットが開かれるなど、重要な開発目標のひとつです。私たちの周りで起こるこうした問題はいま山積みとなって地球の未来を脅かしているのです。 SDGsでは世界共通の持続可能な17の開発目標を定め、地球の問題を解決していこうとしています。前回に引き続き、今回は「目標9」からひとつずつ解説していきましょう。
貧富の差を例にとると、世界の人口約76億人のうち、世界トップのお金持ち8人は、最も貧しい人びと36億人と同じ額のお金を持っています。ほんの一握りのお金持ちに世界の富が集中することで、貧富の差はますます広がっていきます。最貧層20%の子どもたちが、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高いという事実から目を背けてはなりません。富の再配分を見直し、貧しい人たちの収入を増やしていく取り組みが必要なのです。
Roundtable Discussion on “The Threat of Growing Inequalities: Building More Just and Equitable Societies to Support Growth and Sustainable Development”
[SPEAKER: Joseph Stiglitz]
Keynote address: Mr. Joseph Stiglitz, Nobel Prize Laureate 2001
Statements by:
H.E. Mr. Sebastiano Cardi, Permanent Representative of Italy to the UN;
Mr. Riccardo Viale, Director, Italian Cultural Institute;
Moderated by Professor Michael Doyle, Professor of US, Foreign and Security Policy, Columbia University
《私たちにできること》
子どものころ、誰かをのけ者にしたことがありませんか? その時、のけ者にされた子がどう思ったか、考えたことはありますか? もし、アフリカの子どもが転校してきたとき、肌の色から差別的な気持ちを抱いてしまうことがあるかもしれませんが、西欧に移り住んだ日本人の子どもも肌の色の違いで疎外感を感じることがあります。
不平等を減らすには、人びとにはみな違いがあることを前提に、その違いをあたりまえのこととして受け入れることが必要です。一人ひとりがこうした考えを持つことが政治的な指導者を動かし、平等な世界をつくる礎となるに違いありません。
不平等な貿易で貧困にあえぐ開発途上国の人たちに対し、正当な労働単価を支払う「フェアトレード」の運動が軌道に乗り始めています。このような取り引きで輸入されたカカオ豆から作られたフェアトレード・チョコレートを購入することで、食べた人も原料を作っている人も幸せになることができるのです。
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