10月1日から消費税が10%に引き上げられました。今増税では、軽減税率の導入など景気減速を回避するさまざまな策がとられていますが、増税後のキャッシュレス決済によるポイント還元制度もそのひとつです。 国はこの制度に対して2800億円を投入し、増税の事前対策を講じてきました。 経済産業省が主導するこのポイント還元制度の全容については、これまでメディアなどで数多く取り上げられてきたものの、「説明されてもよく分からない」「慣れるまで混乱しそう」「いろいろたくさんあって選択できない」という声が、今なお多いのも現状のようです。 そこで今回は、ポイント還元制度について確認すべき点をあらためてお届けしましょう。
軽減税率の導入店舗は、わずか日本全国で57万件
今回の税制改革については、さまざまな難点が指摘されています。その代表となるものが、小売店の煩雑な作業です。
軽減税率の導入はレジを買い換えるといった投資も必要となり、単価の小さい商品を扱う小売店にとって非常に煩雑なものになるため、このポイント還元制度についても全国で足並みがそろっているとは言い難い面が多々見受けられます。そのため、増税前の9月5日時点での参加加盟企業は日本全国で57万件にとどまっています。
また、大手コンビニチェーンのセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートでは、直営店では自社負担でポイント還元を実施し、大手企業のフランチャイズチェーン店については実施の有無を店側に任せるというスタンスを取っていました。
しかし、9月中頃に駅構内でフランチャイズ契約を結ぶ一部店舗でこの還元制度を行わないことが発表されました。
今回の増税に伴い、酒類を除く飲食料品の税率を8%に据え置く「軽減税率」と、キャッシュレス決済による「ポイント還元」の2つの側面が、より混乱に拍車をかけていることは確かでしょう。
例えば、決済時のポイント還元制度においては、吉野家、松屋、すき屋の牛丼3大大手が「全店で実施しない」ことを決めており、同様にモスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、リンガーハット、ガスト、ドトールコーヒーなどでも「実施しない」ことを発表しています。
一方、マクドナルドでは「フランチャイズ店は実施するが、直営店は実施しない」と発表。
看板に大きく「フランチャイズ」「直営店」と表示されているならまだしも、企業ごと、店舗ごとによって対応が異なり、同じ商品をテイクアウトするのか、その店で食べるか、さらには決済方法、ポイント還元率も異なるとあれば、多くの人にとって、非常に困惑する増税であることは否めないでしょう。
国の思惑通り、キャッシュレス決済は進むのか?
このような混乱が見受けられても尚、この制度を実施していく理由は「景気減退を防ぐ」という一面と、「日本全国にキャッシュレス決済を促す」という二つの側面があり、2020年7月に東京2020オリンピックが始まる前に、キャッシュレス決済を促進することで、インバウンド効果の拡大、さらにはビックデータ活用などによる経済活性、現金決済にかかるコストを減少させていくことが期待されているわけです。
日本が、このキャッシュレスポイント還元制度を終えて、さらに東京2020オリンピックへと向かう中、どのように消費マインドや決済方法が変化していくのか、注視していきたいものですね。
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