北海道を中心にセイコーマートを展開する「セコマ(北海道札幌市)」だ。同社は2011年度以降、今回を含めて8回ナンバーワンの座を獲得。 人口が1000人以下の過疎地にも出店し、地域に欠かせない生活インフラとしての役割を果たしていることが、圧倒的な顧客支持を得ている一番の理由だ。 人口減・高齢化社会を先んじて経験する北海道にあって、大手各社とは異なる独自の戦略でしたたかに生き抜くセイコーマート。転機に差しかかった全国チェーンのコンビニ業界を横目に、地域密着・持続可能な店舗づくりを追求し続ける、北の最強コンビニのビジネスモデルにフォーカスする。
さらに同社は、小売・製造という「川下・川上」だけでなく、「川中」にあたる物流事業までも自社でまかなっている。
配送センターを出たトラックは、広い道内に点在する各店舖に商品を届け、帰りに自社農場や食品工場から荷物をピックアップしてセンターに持ち帰る……というルートで、配送業務の効率化・低コスト化を図る。
こうして、川上~川中~川下にいたるロジスティクスを自社内で構築することで、店舗で利益が生まれなくても、他の部門でカバーできるグループ体制を確立。企業として総合的に収益を生み出せるからこそ、過疎地への積極的な出店や、地域に根ざした持続性のある店舗経営が可能となるのだ。
地域や災害時の社会インフラを担うコンビニとして
対して、これまでFC方式で拡大してきた大手コンビニの経営は、今まさに大きな曲がり角を迎えている。
過剰出店や人手不足による賃金高騰が各加盟店の経営を圧迫し、24時間営業をめぐっては本部とオーナーが対立する労働問題にまで発展。
粗利益の4~6割を本部に支払うロイヤリティや、食品廃棄の費用負担についても不満の声が噴出している。
そうした中、セイコーマートが収益源を多様化することで直営店化を進め、FC契約についてもロイヤリティを1割に抑えているのは、
「オーナーに過度な負担をかけながらの成長は持続しない。地域や災害時の社会インフラを担うコンビニとして、そのインフラを支える人々が疲弊しているようでは、真のインフラにはなれない(セコマ・丸谷智保社長)」
と考えているからだ。
昨年9月の北海道胆振東部地震では道内のほぼ全域が停電し、他のコンビニやスーパーなども営業不能となったが、セイコーマートは95%の店舗で営業を継続。
本部主導で自社工場と物流網を早急に稼働させ、地震発生から24時間以内に道内各店へ飲料や日用品を供給している。
地震の後、北海道の某町に住む筆者の友人も「町全体のライフラインが寸断していた時、近所のセイコーマートが開いているのを見て、涙が出るほどうれしかった。水や生活用品も手に入り、本当に助かった」と話す。
セコマの取り組みが将来のコンビニ像のヒントになる
日本の人口は2009年の1億2808万人をピークに減少に転じたが、北海道の人口のピークは1995年の569万2321人と、全国に先がけて人口減・高齢化社会に直面している。そんな社会的課題の先進地にあって、早くから後継者問題や事業の多様化に取り組み、道民のソウルコンビニとして存在感を示してきたセイコーマート。
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