携帯電話料金の引き下げに向けた改正電気通信事業法が、今年(2019年)10月1日に施行されることが決定した。
【改正法で導入される携帯電話事業の新ルール(省令)】
◎2年契約を中途解約する際の違約金の上限は1000円以下とする(現在は大手3社とも9500円)
◎2年契約プラン(2年縛り)と、契約期間の縛りがないプランの料金差額は月170円までとする(現在は大手3社で、縛りがないプランに月1500~2700円を上乗せ)
◎スマートフォン端末の値引きの上限は2万円とする
※新ルールの適用対象となるのは、新規参入の楽天を含む利用者100万人以上の事業者
※フィーチャーフォン(ガラケー)に関しては2019年末まで適用を留保
根底から覆される大手3社のビジネスモデル
これまで携帯大手3社は、高額な端末を安く販売する代わりに、2年縛りの契約プランや違約金などで利用者を囲い込み、高めの通信料金で大きな利益を上げてきた。高価格帯の機種を主力とする米アップルのiPhoneが、日本で約5割の高シェアを占めるのも、各社が展開してきた端末値引き合戦の成果(?)といえるだろう。
しかし、改正法か施行される今秋以降、こうした携帯業界のビジネスモデルは根底から覆される。囲い込みのツールになってきた端末値引きや違約金は大幅に制限され、長期契約の肝となる「2年縛り」は事実上禁止されたも同然だ(月170円程度の差額では、2年縛りの契約を選ぶ意味がなくなる)。
すでに各社は今年6月以降、改正法を見据えた分離プランなどを打ち出しているが、新ルールの導入・浸透にともなって、さらなる見直しを余儀なくされるのは確実だろう。
大手3社に対抗する楽天には追い風の展開に
一方で、10月から第4のキャリアとして市場参入し、3社から顧客を奪いたい楽天にとっては追い風となる。
楽天は改正法の施行に向けた有識者会議で「高額な特典、複雑な契約、違約金などの囲い込みで、消費者は事業者やサービスを自由に選べない状況にある」として、現状の携帯市場を批判。大手3社に対抗すべく、10月から展開するサービスでは、わかりやすいシンプルな料金体系で、利用者を縛らず自由に乗り換えられるようにする方針を示している。
また、従来の通信網は専用設備の整備などで巨額な投資が必要となるが、楽天は汎用サーバーとネット経由で管理するクラウド技術を使ってコストを抑え、通信料金をMVNO(格安スマホ事業者)並みの水準に下げるという。
現時点(8月中旬)では、楽天から具体的な料金プランは発表されていないが、当然ながら、かなり強気な料金体系で大手3社に挑んでくることは間違いないだろう。
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