携帯電話料金の引き下げに向けた改正電気通信事業法が、今年(2019年)10月1日に施行されることが決定した。
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今回の改正法では、端末と通信の「セット販売」が原則禁止となるほか、2年契約を中途解約する際の違約金や、端末の値引き額などを制限する新ルールも導入。これを受け、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクグループの大手通信キャリア3社は、営業戦略の抜本的な見直しを迫られることになりそうだ。
さらに、同じタイミングとなる10月には、大手3社が寡占する携帯市場に第4のキャリア「楽天モバイル」が参入。「シンプル・出入り自由・低料金」を前面に打ち出し、業界におけるビジネスモデルの変革とゲームチェンジを狙っている。
10月の改正法施行と楽天の新規参入によって、果たして日本の携帯マーケットはどう変わるのだろうか……。今秋以降、波乱含みの展開が予想される携帯市場の背景とともに、改正法のポイントや新ルールについて詳しく見ていくことにしよう。
携帯料金の値下げをめぐる政府や業界の動向
携帯電話の料金をめぐっては、2015年秋に安倍首相が「家計負担の軽減は大きな課題だ」と述べ、総務省に通信料引き下げの検討を指示。これを受けて携帯大手3社は、端末代の値引きを制限して通信料金を安くするプランなどを導入したものの、適用にはデータ量・通話時間の大幅な制限や、オプションのセット加入などの諸条件が付いており、結局、値下げの実質的な効果はほとんど見られなかった。
そうした中、携帯料金の議論に火をつけたのが菅官房長官だ。菅氏は2018年8月に行われた地方講演会で、「日本の携帯料金は高すぎる。4割程度下げる余地がある」と言及。さらに、携帯大手3社の営業利益が約7000億~1兆円に及ぶことを引き合いに出し、「大手3社の寡占状態にある携帯市場は、競争が働いていない」と痛烈に批判した。
菅氏の発言に続き、翌9月には総務省が携帯料金引き下げなどの課題を検証する有識者会議を新設。その後、料金値下げに向けた議論が一気に加速し、今年5月には通信契約を条件に端末代金を値引きする「セット販売」の禁止を柱とした改正電気通信事業法が成立。これにより、通信料金と端末代金を明確に分ける「完全分離プラン」(図表参照)が義務づけられることになった。
改正法の新ルールによって何がどう変わる?
さらに、総務省の有識者会議は改正法の施行に向けて議論を進め、2年契約を中途解約する際の違約金や、端末値引きなどに関する新ルールを画定(下記参照)。総務省はその内容を盛り込んだ省令改正を経て、10月1日の改正法施行とともに導入する見通しだ。
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