いわずと知れたネット通販の巨人「Amazon」が、いよいよ日本国内での生鮮食品マーケットに力を入れ始める。 それは、食品最大手のスーパーマーケット「ライフ」と組んで、総菜や野菜などの生鮮品をネットで販売するというもの。 年内は都内の一部地域に限定されるとのことだが、今年に入って新鮮さが命の商品を即日配達(最短2時間)すると発表した、Amazonとライフそれぞれの思惑は!? 今回は、私たち消費者はもちろん、スーパーや青果店などの業界が注目する提携が、市場や競合にどのような影響を与えるのかについて考察する。
国内通販サイトも、生鮮食品市場拡大に必死
黒船Amazonに対し、既存の国内ネット通販サイトも、だまって手をこまねいているわけではない。
大手通販サイトの「楽天」は、米国ウォルマートの子会社「西友」と共同で、ネットスーパー「楽天西友ネットスーパー」を立ち上げ、すでに協働運営している。「楽天西友ネットスーパー」では、西友の店舗から生鮮食品や日用品を配送するほか、専用の配送センターを設置。カット野菜や半調理食品・食材がセットになったすぐに調理できる点が魅力の「ミールキット」など、品ぞろえを強化している。
また、Yahoo傘下の「アスクル」は、「セブン&アイホールディングス」と組んで、生鮮食品の通販サイト「IYフレッシュ」をすでに立ち上げており、アスクルの配送システムを利用して、セブンイレブン商品の宅配を進めている。
そのほかローソンなども、ネット通販サイトでの宅配に力を入れ始めている。
単独ではなく、協業という選択をとったライフ
国内の小売業者の多くは、これまで独自のネット通販事業を展開してきたところが多い。
ただ、それらはシステム開発を担うエンジニアの獲得競争が激しくなっている現状に加えて、配達にかかる人出不足によって計画通りに商品を配達できないなど、いざサービスをスタートさせたものの、オペレーションの段階で順調に稼動できないケースが多いのも現実だ。
その一例として、食品スーパー大手「サミット」が2014年にネットスーパーから撤退している。このケースも、単独で事業を軌道に乗せるのは難しい側面が多かったから、といえるだろう。
そこで、Amazonと競合するより、強大な配送網を活用するメリットのほうが大きいと判断したライフ。Amazonもまた、日本企業の合併や買収ではなく、協業という形で米国のモデルをスタートさせる選択をとったことになる。
── 前述のように、食料品のネット販売事業は、他業種と比べて大きく立ち遅れているのが現状だ。巨人Amazonの積極的な事業展開は、国内のネット事業者や流通事業者を大いに刺激するはず。そして今後、競合他社がどのような動きを見せるのか……。私たちの日常に直結するサービスだからこそ、市場拡大が見込まれるジャンルの動向に注視していきたいものだ。
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5月末、Amazonジャパンと、食品スーパー大手のライフコーポレーションから業務提携の発表があった。その内容は、Amazonの有料会員向けサービス「プライムナウ」を通して、ライフの店頭で販売されている生鮮食品をネット販売するというもの。
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2015.07.17
2009.10.31