いわずと知れたネット通販の巨人「Amazon」が、いよいよ日本国内での生鮮食品マーケットに力を入れ始める。 それは、食品最大手のスーパーマーケット「ライフ」と組んで、総菜や野菜などの生鮮品をネットで販売するというもの。 年内は都内の一部地域に限定されるとのことだが、今年に入って新鮮さが命の商品を即日配達(最短2時間)すると発表した、Amazonとライフそれぞれの思惑は!? 今回は、私たち消費者はもちろん、スーパーや青果店などの業界が注目する提携が、市場や競合にどのような影響を与えるのかについて考察する。
「雑貨、家具、インテリア」と「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」「衣類、服飾雑貨等」が30%を超えているのに対し、「食品、飲料、酒類」は市場規模こそ1兆5000億円に達する規模であるものの、「EC率」の割合(赤い折れ線グラフ)化にすれば2.6%に過ぎない。極論すれば「食品、飲料、酒類」はほとんどネットで食品は購入されていないことを表すことになり、実際に化粧品や医薬品などよりも割合が低いことに驚かされる人も多いだろう。
食品をネットで購入する人は、圧倒的に少ない25%以下
次に、グラフ「ネットと実店舗での購入比率」は、消費者の意識や動向がはっきりうかがえるものになっている。「本・音楽等」はすでに60%以上の人がネットで購入していて、多くの人が実店舗は利用していないことを示している。
それに対して、項目の最下部に位置する「食品」は、他の項目と比較して圧倒的にネットで購入する人が少ないことがわかる。ネットで買う人は25%以下ということはつまり、70%以上の人が実店舗で購入していることを表していることになる。
食品が“おいてきぼり”にされた理由とは?
これほどネット通販が普及しているのに、なぜ、生鮮食品が“おいてきぼり”にされているのだろう。
その理由はいくつか考えられるが、もっとも大きい理由は、生鮮食品はその名の通り「鮮度が命」だからだ。要は、家電や本のように配達までにじっくり待てる商品ではなく、野菜や総菜などは注文してから一刻も早く届けてほしい……というニーズが顕在化している商品だからだ。
「スピード×鮮度」が命の生鮮食品を通販で売るために重要な点は、流通システムの整備だ。翻れば、その点がこれまでの国内通販業者の最大の弱点だったわけだが、今回の提携によってその弱点を米国出身のAmazonが切り崩していくことになる。
ご存じの方も多いと思うが、今回のような大手スーパーの店舗網を活用した配送サービスは、本家・米国でAmazonがすでに実績をつくっている。
2017年に米国大手のスーパーマーケットチェーンの「スーパーホールフーズ」を137億ドル(約1兆5000億円)でAmazonが買収し、「スーパーホールフーズ」の実店舗で販売している生鮮食料品や雑貨を、Amazonの通販サイトアプリで注文できるようになっているのだ。今回は、その米国Amazon版のノウハウを、日本で踏襲することになるわけだ。
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2009.10.31