最近「クラウドファンディング」という言葉を当たり前のように耳にするようになった。 全体の市場規模として2000億円にも達しようかというほどの勢いを見せる「クラウドファンディング」。いまなぜ、これほどまでに注目が集まっているのだろうか。その現状と具体的な事例、今後の課題などについて、2回にわたってお送りしよう。
起案者のアイデアは多岐にわたるが、クラウドファンディングのタイプとしては、以下の5つのタイプに分類される。
① 購入型
支援すると、金銭以外のモノやサービスなどの見返りがもらえるタイプ。
カフェの開業や新商品の開発などで、飲食券や完成品をプレゼントするなど。
② 寄付型
支援しても見返りはないタイプ。寄付による税制優遇は受けられる。
障がい者支援や貧困者支援など、社会的に意義のある活動への社会奉仕的意味合いが強い。
③ 貸付型
支援すると元本に加えて利子が得られるタイプ。融資型、ソーシャルレンディングなどとも呼ばれ、分配金の利率が決まっているシステム。
少額から投資でき、利回りもいい資産運用ができるなどのメリットがある。
④ 株式型
支援すると株式を持つことができるタイプ。
未上場企業の株式に投資することができ、ベンチャー企業の立ち上げから支援できるなどのメリットがある。
⑤ ファンド型(事業投資型)
支援すると金銭的な見返りが得られるタイプ。特定の事業に対して支援者(個人投資家)が出資し、売上の成果や出資額に応じて金銭的見返りを受け取る。
成果によって分配金が変動するため、貸付型より大きな利益も期待できる。
①②に比べて③④⑤のほうが、投資や資産運用的な色合いが強い。クラウドファンディングを利用する場合には、どのようなタイプなのかをしっかりと見極めることが肝要だ。
拡大する世界のクラウドファンディング市場
活況を呈すクラウドファンディングだが、矢野経済研究所の調査では、2017年度(2017年4月~2018年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクトの支援額ベースで、約1700億円(前年度比127.5%増)と推計されている。
これをタイプ別にみると、
①購入型……約100億円(構成比5.9%)
②寄付型……約7億円(同0.4%)
③貸付型(ソーシャルレンディング)……約1534億円(同90.2%)
④株式型……約9億円(同0.5%)
⑤ファンド型……約50億円(同3.0%)
となっている。
クラウドファンディング市場が拡大している背景としては、「貸付型」が拡大していることが大きな要因だ。また、2015年に金融商品取引法が改正されたことも影響を及ぼしている。これにより2017年から「株式型」のサービス提供も始まったからだ。
さらに、地方自治体をはじめ、メディア、運輸、製造、物販などの大手企業の新規参入も目立つようになっている。企業が事業を進める際の資金調達の方法として定着しつつあることも、市場の拡大に貢献しているのだ。今後もますます市場は拡大していくと見込まれている。
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