今年2019年の春は、「新しい日本」への期待がふくらむ特別な季節となりました。 新年度が始まった4月1日には新元号が公表され、続く9日には20年ぶりとなる紙幣刷新の発表……。そして、4月30日で平成は31年の歴史に幕を閉じ、5月1日の改元で、時代は令和へと受け継がれました。 新年度・新元号のスタートとともに、私たちの暮らしにかかわる制度なども大きく変わり、世の中はすでに新しい時代に向けて動き始めています。 そこで今回は、4月に施行された「働き方改革関連法」のポイントをはじめ、今春の注目トピック「食品・サービス料の値上げ」「大手企業の統合・社名変更」「元号表記の見直し」など、身近な社会経済の新たな動きをまとめて見ていきたいと思います。
また、金属大手の新日鉄住金は、4月1日に社名を「日本(にっぽん)製鉄」に変更。社名変更は旧新日本製鉄と旧住友金属工業が合併し、新日鉄住金が発足した2012年10月以来となります。同社は今年に入って国内4位の日新製鋼と、特殊鋼メーカーの山陽特殊製鋼を子会社化したことも踏まえ、あえて「住金」の名を外し、日本発祥の製鉄会社にふさわしい包括的な商号への変更に踏み切ったとしています。
同じく、4月1日には三井生命保険が「大樹(たいじゅ)生命保険」に社名変更し、90年以上にわたって掲げた「三井」の名称がついに外されました。2015年、三井生命保険は業界最大手の日本生命保険の傘下に入り、日生が三井生命の株式の8割以上を握る状況が続く中、これを機に財閥の冠を脱いだとみられています。
一部自治体の公文書や運転免許証で元号・西暦を併記
日本の官公庁や公的機関では、公文書に元号(和暦)を使うのが通例となっています。ただ、元号表記は外国人にわかりにくく、「元号 ⇔ 西暦」「旧元号 ⇔ 新元号」の読み間違い・計算違いも生じやすいため、西暦に統一すべきという声も多いようです。
たしかに、明治・大正・昭和・平成の各年が西暦何年になるのか、計算しないで変換するのはちょっと難しいですよね。ちなみに、筆者の免許証には「平成35年●月●日まで有効」と記載されており、令和に入った今となっては、それがいつなのか、何年後なのか……もう訳がわかりません(笑)。
こうしたことから、今回の改元を機に、自治体などで元号表記を見直す動きが広まっているようです。公文書の日付に元号を使用するかどうかは、各自治体・省庁の判断に委ねられており、すでに山口県や福山市などの5市は、公文書に元号と西暦を併記。「わかりやすさを重視する」という観点から、今後も全国の自治体や公的機関で西暦表記・併記が増えていくと予想されます。
さらに今回、運転免許証の有効期限の記載も見直されました。東京都を直管する警視庁では、すでに今年3月15日から西暦と元号を併記した免許証の交付を開始。今後は「●●●●年(令和●年)●月●日まで有効」と表記され、システムを改修した道府県の警察から順次変更されるとのことです。
── 以上、新年度・改元とともに変わった、身近な社会経済の動きをまとめて見てきました。食料品などの値上げは、やはり頭の痛い問題ですが、働き方改革や外国人労働者の受け入れ、元号表記の見直しについては、今後も大きく注目していきたいですよね。
そして、日本中が祝賀ムードに沸いた10連休も終わり、いよいよ新時代の日本社会が本格的に始動しました。果たして令和はどんな時代になるのでしょうか。その名の意味が示すように「人々が美しく心寄せ合う中で文化が生まれ育つ」……そんな世の中になってほしいと願うばかりです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31