今年2019年の春は、「新しい日本」への期待がふくらむ特別な季節となりました。 新年度が始まった4月1日には新元号が公表され、続く9日には20年ぶりとなる紙幣刷新の発表……。そして、4月30日で平成は31年の歴史に幕を閉じ、5月1日の改元で、時代は令和へと受け継がれました。 新年度・新元号のスタートとともに、私たちの暮らしにかかわる制度なども大きく変わり、世の中はすでに新しい時代に向けて動き始めています。 そこで今回は、4月に施行された「働き方改革関連法」のポイントをはじめ、今春の注目トピック「食品・サービス料の値上げ」「大手企業の統合・社名変更」「元号表記の見直し」など、身近な社会経済の新たな動きをまとめて見ていきたいと思います。
外国人材の活用に門戸を開く「特定技能」もスタート
同じく4月1日から、改正出入国管理法に基づく新たな在留資格「特定技能(特定技能ビザ)」もスタートしました。人材不足が深刻な業種を対象に、一定の技能と日本語能力のある外国人の長期就労(5年間または無期限)を認める制度で、政府は今後5年間で約34万人の受け入れを見込んでいます。
現時点で対象となっているのは、以下の14業種です。
(1)建設業 (2)造船・舶用工業 (3)自動車整備業 (4)航空業 (5)宿泊業
(6)介護 (7)ビルクリーニング (8)農業 (9)漁業 (10)飲食料品製造業
(11)外食業 (12)素形材産業 (13)産業機械製造業 (14)電気電子情報関連産業
受け入れの対象となる業種は、出入国管理法ではなく法務省令で定められます。 したがって、上記以外の業種でも今後「深刻な人手不足である」と認められれば、法改正を経ずに順次追加できるため、将来的には幅広い業種・業界に拡大していく可能性があります。
食料品を中心とした「春の値上げラッシュ」の背景には……
ここ最近、ひんぱんに耳にする値上げの話題。とくに今年4月は、主要メーカーの乳製品や調味料、冷凍食品をはじめ、飲食チェーンの定番メニューや各種サービスなど、食料品を中心に3~10%程度の値上げが相次ぎました(図表参照)。
今回の値上げの理由として、各メーカーは物流費や人件費の高騰を上げており、包装資材などのコスト負担も一因となっているようです。また、今年は10月に消費税増税が予定されていることから、増税後の消費の冷え込みと値上げによる買い控えが重ならないよう、春に値上げが集中したとみられています。
生活に欠かせない食品やサービスは、やはり値上げしてほしくないのが本音ですが、日本の社会経済の現状から考えると致し方ないのかもしれません。私たち消費者も「値上がりは許せない!」と叫ぶ前に、安心安全な食品・サービスを安定提供し続ける各メーカーの企業努力に、あらためて理解を示す必要があるのではないでしょうか。
この春に注目を集めた大手企業の経営統合・社名変更
新年度のタイミングに合わせて、大手企業の経営統合・社名変更も相次ぎました。
4月1日には、石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油がついに経営統合。両社は2015年に統合へ向けて基本合意したものの、出光創業家の反対で決着が長びいていました。統合後の社名は「出光興産」となり、社長には出光の木藤俊一氏が就任。単純合算の売上高は5兆8000億円に達し、売上高10兆円のJXTGホールディングスに次ぐ業界2位の規模となります。
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