いま、空前のお城ブームにわいている。 “レキジョ”に代表される歴史ブームの到来、『真田丸』『西郷どん』といったNHK大河ドラマのヒット、そして外国人観光客の増加などの要因が重なり、日本古来の美しさを再認識できる場所としてお城が大人気となっているのだ。 2018年末、横浜で開催された“城好き”を対象としたイベント「お城EXPO」には、3日間で延べ約2万人の人が来場した。お城のどこに人々は惹きつけられるのだろうか。今回はお城ブームの実態に迫るとともに、これからの展望と課題についてもまとめてみたい。
お城めぐりのバイブルともいえる書籍が、異例の大ヒットを続けている点も見逃せない。
●『日本100名城に行こう』36万部
●『日本100名城公式ガイドブック』14万部
『続・日本100名城公式ガイドブック』5.7万部
(いずれも公益財団法人日本城郭協会監修・学研発行)
このように、どの本にもスタンプ帳が付いていて、お城めぐり必携のガイドブックとなっている。このお城ブームと並行するように、神社やお寺の御朱印を集めるブームも続いており、いかに日本人が「スタンプ好き」かがわかる。
全国49のお城の管理団体が加盟する「全国城郭管理者協議会」によれば、2015年度のお城の総入場者数は約2200万人。2018年は明治維新150年にあたり、NHK大河ドラマ『西郷どん』の影響などにより、さらにお城を訪れる人が増加している。
入場者数のランキング上位には、大阪城、名古屋城、二条城、姫路城、首里城など、観光の目玉となっている城が名を連ねる。いずれも150万人超の入場者数を誇るビッグネームだ。
ランキングトップは大阪城で、2017年の入場者数は256万人。3年連続で前年度を更新している。
姫路城も平成の大改修が完了した2015年から入場者数を伸ばし続け、トップ3に迫る勢い。なんといっても「現存天守12城」に数えられ、世界遺産にも指定されている城だ。これからも多くの人を呼び寄せることになるだろう。
SNSやお城アプリの影響で、新たなブームも
このお城ブームは、100名城選定から数えて10年以上も続いていることになる。最近では、スタンプラリーの他にも、人気を後押しするさまざまな仕掛けが登場してきている。
そのひとつは、そう、SNSだ。流行りのインスタグラムに自分の好きなお城の写真を投稿するなど、城好きの人たちの情報交換の場が増えている。
また、スマートフォンのアプリも“城人気”に拍車をかけている。
「発見!ニッポン城めぐり」というアプリは、地図上の位置情報をもとに、近くにある城を攻略するゲーム。アプリに出てきた城をひとつずつ攻略していくことから、スタンプラリーと同じような遊び方ができる。
最新の仮想現実の技術を使ったアプリで、「AR滝山城跡」は、かつて(現)東京都八王子市にあった滝山城の歴史を、バーチャルで体感しながら学べるアプリ。2018年に八王子市観光課が制作したものだ。
さらに各地方のいろいろなお城が、それぞれプロジェクションマッピングやコンサートなどのイベントを仕掛けたり、人気ゲームとのコラボレーションをしたり……。若年層から高齢層まで、幅広い層を取り込んでいるさまざまな仕掛けが、現在のお城ブームを支えている大きな要因ともなっているのだ。
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