ものやサービスの値段は時代によって変わるものです。「高い」「安い」の基準になっている貨幣の価値も時代によって大きく変わります。 さまざまな分野のものやサービスの「お値段」を比較してみましょう。 4月は、新しいことに挑戦する絶好の季節ですが、ここ20年ほどのことでしょうか。中高年の世代で新しく楽器を習い始める人々や、あるいは昔習っていた人があらためて習い始めるといったケースが増えているようです。そのため、音楽教室などではシニア向け楽器入門の講座に力を入れています。 なかでも一番人気はピアノ。昔、家ではピアノが買えなかったけど、春から挑戦してみたい……というシニアの方も多いかもしれません。というわけで、今回はピアノのお値段の変遷を見てみましょう。
ピアノの大衆化に伴い、弦をハンマーで叩く構造ではあるものの、ヘッドフォンなどを使うことができる電子ピアノが発売されたのは、1970年代のこと(アップライトで11万円程度)。アップライトが発売された理由のひとつには、大きな音が出しにくい住宅事情も影響していたようです。そのため台数的にかなり普及しました。
現在ではご存知じのとおり、シンセサイザーや電子キーボードは非常にたくさんの種類が発売されています。中古楽器も入手しやすいですね。むしろ誰も弾かなくなったピアノや電子ピアノなど楽器の処分に困ることのほうが多いかもしれません。現在ではピアノという楽器に対する敷居は、ぐんと下がったといえるでしょう。
ハーモニカのお値段
さて、やはり昔も現在もピアノが高額な買い物であることには変わりありませんし、一人一台ずつ学校で揃えるわけにもいきません。そこで、戦後の義務教育で音楽教育のツールとして使われてきたのが、懐かしい音色で、今も昔も庶民に愛されるハーモニカです。
日本に輸入され始めたのは明治20年代とされますが、安価なもので25銭ほど。現在の感覚だと3000円~4000円程度でしょうか。高価ですね。
代表的な国産メーカーのハーモニカの、昭和2(1927)年の値段は1円60銭。これも数千円程度と考えられます。
この後、戦後になると小学校教育に器楽が導入され、ハーモニカは数百円程度の値段に下がり、普及とともに簡単で携帯便利な楽器として広く愛好されるようになります。現在でも教育用のハーモニカは1000円を少し上まわる程度ですが、高級なものになると1万円以上しますし、半音階を出せるクロマチックハーモニカなどでは10万円を超えるものもあります。現在でもその響きを懐かしがって、シニアの愛好者も多く存在します。
── ピアノに限らず、高い楽器が存在するのは事実ですが、なにかしら楽器に触れようとするなら、広い選択肢があります。春からなにかひとつ、始めてみてはいかがでしょうか。
≪記事作成ライター:帰路游可比古[きろ・ゆかひこ]≫
福岡県生まれ。フリーランス編集者・ライター。専門は文字文化だが、現代美術や音楽にも関心が強い。30年ぶりにピアノの稽古を始めた。生きているうちにバッハの「シンフォニア」を弾けるようになりたい。
【記事元】
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