「食券制が松屋の魅力」「会計を待たなくていいから、食べ終わったらすぐ帰れる」――こんな基準で牛丼チェーンを選ぶ人もいるのでは。 松屋はほぼ全店で券売機を導入しているのに対し、吉野家とすき家では店員が注文を聞いて会計も行うスタイルにこだわっていた。また、大手ラーメンチェーンの日高屋が券売機の導入を本格的に進める方針を打ち出している。 外食チェーンにとって、券売機とはどのような存在なのだろうか。
松屋が券売機にこだわる理由
すき家や吉野家と対照的なのが松屋だ。「サテライト店舗」と呼ばれる弁当のみの販売を行う店舗では、券売機を置いていないという。ただそれはあくまで例外で、それ以外の店には券売機が置いてある。
では、松屋はなぜ券売機を導入しているのだろうか。広報担当者は一般的な券売機導入のメリットに加え、「現金以外の決済が可能(実際、2月19日にQRコード決済をスタートした)」「オーダーをお聞きする時間を短縮することができる」「従業員がお金に触ることがないので衛生的」を理由として挙げた。
実際、都内にある松屋の券売機を見ると、QRコードをかざす装置がついており、スマートフォンを持ったイラストと一緒に「クーポンはこちらから」「QRコード決済」と強調されている。また、交通系ICカードの「Suica」が使えるポップもついており、スピーディーな決済を済ませたいお客へのアピールに余念がないようにみえる。まとめると、松屋は決済や注文を効率化させることを重視しているといえそうだ。
ただ、券売機を導入することで、悩ましい問題も出ているという。広報担当者は、券売機導入のデメリットとして「設置場所が必要なため、席数などを犠牲にすることもある」「レジ会計の特殊対応教育に時間がかかる」ことを挙げた。さらに、松屋では2週間に1度新メニューを導入しているため、券売機の画面表示の切り替えが多くなり、食べたいメニューにたどり着くまでに時間がかかってしまうという課題も認識しているようだ。そのため、券売機の操作に慣れるのが難しいと考える高齢のお客もいるという認識を示した。
このように、券売機を巡るスタンスを比較することで、顧客満足やサービスをどのように各社が捉えているのかが浮き彫りになった。深刻な人材不足で今後も券売機の導入を検討するチェーンは増えるかもしれないが、逆に導入しないことで接客サービスを売りにすることをアピールするチェーンも出てくるかもしれない。
[昆清徳,ITmedia]
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