決済手段のキャッシュレス化の波が日本に押し寄せています。 キャッシュレス化の波と言っても、他の国々からみると遅れていると言われがちな日本ですが、その理由として現金に対する高い信頼性や、店頭での現金の扱いやすさ、ATMの充実などが上げられます。2019年はこうした現金主義からの脱却が図られるのでは……と期待されていますが、新サービスの登場などにより、お金の流れが変化していくことは間違いなさそうです。 そこで今回は、これまでのキャッシュレス化を阻んできた壁と、2000年代に登場した電子マネーを中心にお伝えします。
さらに第3の波として、QRコードやバーコードを使ったスマホによる決済手段も登場しており、支払い方法は多様化しています。電子マネーやQRコード、バーコード決済などの決済サービスの特長は、金融機関だけでなく異業種が参入している点であり、その分、既存の金融機関にはなかったサービスも見られます。利用者は、さまざまな生活シーンのなかで、高額の買い物やネットショッピングはクレジットカードで、コンビニなど少額の支払いには電子マネーで、といったように、そのときどきに見合った決済手段を選択できる時代になったわけです。
交通系に始まり、爆発的に普及した電子マネー
では電子マネーの歴史をざっと振り返りましょう。
2000年代に入って登場したIC型電子マネーが、交通系から広まっていったのは周知のとおりで、2001年にJR東日本のIC乗車券「Suica(スイカ)」が登場すると、全国の交通機関へと広まっていきました。
さらに遡ること1996年、日本で電子マネーが浸透したのは、ソニーが開発した非接触方式のICカード技術「Felica(フェリカ)」によるところが大きいと言われています。というのもその特徴は、世界最速である0.1秒でICカード内のデータ読み書きができるという、世界にも抜きに出た処理速度を実現しているからです。
当然ながら、たくさんの人が利用する電車の改札口で、ピピッと瞬時にデータが読み込まれなければ大混乱を招きかねないことになり、JR東日本が処理速度にこだわったことも納得できる点でしょう。
2002年以降は、大手コンビニエンスストアなどでFelicaをベースとした電子マネー「Edy(エディ)」の決済システム導入が進み、流通の分野でも電子マネーは広まっていきます。さらに、おサイフケータイのようなFelicaを搭載したスマホであれば、電子マネーでの支払いやポイント、乗車券、チケットなどもスマホで一元管理できるため、財布の中身を軽くし、より身軽にスピーディーに行動したいと考えたりする人たちにとって、手放せないものとなっていきます。
こうした電子マネーは若い人たちの間でのみ普及が進んでいると思われがちですが、日経新聞(2019年1月28日電子版)によると、 70歳代以上の電子マネー平均利用額は、直近5年間で87%増え、伸び率は全世代の平均(58%)を上まわっているとあります。
── 現金主義と言われた日本でも確実に変化が訪れており、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済など多様化する決済手段をいかに使い分けていくか、利用者の賢い選択が問われていきそうです。次回はQRコード決済、バーコード決済についてお伝えします。
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