「〇〇家の墓」と墓誌が掘られた家墓に手を合わせる──。それが日本の伝統的なお墓参りだが、いま、そのスタイルが急速に崩れつつあるようだ。 お墓を引き継ぐ方がいなくなったことで「家墓」と「檀家制度」が旧来の様式となり、ひとつのお墓に多くの人が共同で埋葬される「合葬墓」「集合墓」や「樹木葬」「海洋散骨」など散骨方法も変化しているほか、棚型やロッカー型の「納骨堂」も増えてきている。 少子高齢化に拍車がかかり、墓守をする人がいなくなったり、また身寄りのない単身世帯の増加など、家族形態が大きく変化するに伴って、お墓の形も変わってきているようだが、今回は誰にとっても他人事ではない、現代のお墓事情をルポしてみよう。
●家族としての一体感に欠ける
リーズナブルで手軽な合同墓だが、失うものもある。それは、日本人がこれまで文化として築き上げてきた家族ごとの墓石にお詣りするという形を事実上捨てることになることだ。これからは、赤の他人と一緒のお墓に手を合わせることになるため、遺族によって個人への思い入れが削がれる、と思う人も出てくるだろう。そういう心配は無用と思える人はそれでいいので、そのあたりは個人の感性や価値観に寄ってくる。ご自分で判断されればいいだろう。ただ、そうした可能性があるということを申し添えておく。
── 以上のような合同墓のほかにも、樹木葬や海洋散骨など、埋葬の仕方はどんどん新しくなっている。ただ共通しているのは、大方の埋葬の仕方は、以前と比べて簡略化されている点だ。葬式もそうだが、もうお墓や墓石の大きさを競うような時代は終わっている。生活様式に合わせたお墓の新しい形は、これからもどんどん増えていくことだろう。
≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、昨春退職。現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロでユースを手掛けている。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
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