急増する「合葬墓」「集合墓」……。様変わりする“現代のお墓事情” 

2019.02.19

ライフ・ソーシャル

急増する「合葬墓」「集合墓」……。様変わりする“現代のお墓事情” 

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「〇〇家の墓」と墓誌が掘られた家墓に手を合わせる──。それが日本の伝統的なお墓参りだが、いま、そのスタイルが急速に崩れつつあるようだ。 お墓を引き継ぐ方がいなくなったことで「家墓」と「檀家制度」が旧来の様式となり、ひとつのお墓に多くの人が共同で埋葬される「合葬墓」「集合墓」や「樹木葬」「海洋散骨」など散骨方法も変化しているほか、棚型やロッカー型の「納骨堂」も増えてきている。 少子高齢化に拍車がかかり、墓守をする人がいなくなったり、また身寄りのない単身世帯の増加など、家族形態が大きく変化するに伴って、お墓の形も変わってきているようだが、今回は誰にとっても他人事ではない、現代のお墓事情をルポしてみよう。

大反響を呼んだ、築地本願寺の「合同墓」開設

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京都西本願寺の直轄寺で、関東を代表する名門の東京築地本願寺が2017年秋に開設した「合同墓」は、大きな反響を呼んだ。入会を案内する説明会には中高年の男女が多数押し寄せ、話を聞くには1カ月以上も待たされる事態となった。
なにしろ400年以上も歴史を持つ老舗のお寺が、もっとも現代的とも思える合同墓をつくり、そこにトータル5万柱を埋葬しようする一大事業のスタートだ。話題になっても当然だろう。

新しく建築された明るい天窓の礼拝堂には阿弥陀如来像が安置され、同寺の僧侶が毎日読経している。お墓参りに訪れた参拝者は、個々のお墓ではなく、その阿弥陀如来に手を合わせる。そして地下には、250平方メートルにおよぶ巨大な納骨堂が備わっており、整然と遺骨が収納されている。これからもどんどん遺骨が増えていくはずだ。礼拝堂の回廊には、契約を果たした人の名前が刻まれているため、そこで故人名を確認することができる。

契約は「合同区画」と「個別区画」に分かれている。初期費用は、最初から「合同区画」を選べば30万円、6年間「個別区画」なら50万円、32年間「個別区画」だと100万円となる。いずれも最終的には「合同区画」にまとめられることになる。
この築地本願寺の新事業はメディアなどでも取り上げられたため、ほぼ成功の運びとなりそうだ。しかし、成功の理由は築地本願寺のブランド力だけではない。背景に、お墓に対する新しい考え方が浸透してきている証ともいえる。従来の墓石スタイルは、もう現代にはマッチしないのかもしれない。

墓石から永代供養墓へ変化

最近よく聞くお墓の形態に、「永代供養墓」というのがある。これは、従来の墓石による家族単位の供養ではなく、霊園の管理者が家族などに代わって半永久的に供養をしてくれるお墓のこと。中でも代表的なのが、築地本願寺の例にあるような「合同墓」。複数の契約者が合同で埋葬されるお墓で、それを霊園が管理してくれるというものだ。

従来のお墓と異なる点は、まず独自のお墓を必要としないこと。
お骨は霊園が用意した納骨堂などに収められる。その結果、初期の費用が大幅に抑えられる。従来型の一般墓で墓石を購入すれば200万円以上ほどかかるのが相場だが、合同墓ならおおよそ30~40万円前後。安ければ10万円くらいですむ場合もある。

この合同墓の特徴のひとつは、家族でない人と一緒のお墓に入るということだ。見知らぬ人と隣り合わせとなることに抵抗をもつ人もいるだろうが、一方で、親しかった友達など血のつながりはなくとも、大事な人と同じお墓に入れるというよさもある。

次のページ合同墓のメリット

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