「たんす預金」という言葉がある“現金主義”の日本でも、若い世代を中心に電子マネーやQR決済をはじめとするキャッシュレス決済が盛り上がりを見せています。 民間レベルでは、2018年末には「100億円あげちゃうキャンペーン」を打ち上げた「PayPay」が話題をさらったばかりですし、政府も2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、キャッシュレス社会の構築に本腰を入れています。 ── 果たして、2019年は本格的なキャッシュレス決済元年となるのか? 日本の現状、そして先端をいく中国の現状について、今回はご紹介しましょう。
しかし、メリットだけではなくデメリットもやはり存在します。それは、店舗の営業終了後の現金確認のレジ締めにかかる時間は、積もれば人件費等を圧迫することになりますし、ATMの設置・管理費用も銀行にとってコスト圧迫の要因になっています。
それを裏付ける数字として、「現金決済インフラ」を維持するコストは、年間1兆円を超えるとの試算もあります。そうした数値からも、人手不足などの社会問題を抱えている日本では、 “脱・現金主義”を考えなければならない時期にきていると言えるかもしれません。
中国では「生活アプリ」と呼ばれる“決済アプリ”が席巻!
日本と対照的にキャッシュレス化が進む中国・都市部では、アリババグループが提供する「アリペイアプリ」などの決済アプリが席巻しています。
こうした決済アプリは、通販やスーパーなどの買い物はもちろん、金融サービス、電気・ガス・水道料金の支払い、家賃、病院の予約、映画館から屋台の支払いまでを、スマホひとつで行えるもの。中国・都市部では、「生活アプリ」としてすでに広く浸透していて、2018年のスマホ決済額は、なんと160兆元(2600兆円)!にものぼったというから驚きです。
ここまで急速にキャッシュレス化を加速させた背景には、もともと中国では偽札が横行しているという社会問題があったことに加えて、1990年代まで決済システムやルールが統一されていなかった点が挙げられます。さらにこうした問題を追い風に、アリババグループは顔認証による決済システムを開発。これは、買い物をする際、無人レジでスマホ決済が可能な店舗のことを指します。
ここまでくると、購買履歴だけでなく、生体データも含めた情報はあらゆる個人情報を管理されることになります。実際にアリババ傘下の芝麻信用社は、政府から提供される学歴情報、ネットショッピングの取引情報、公共料金の支払い記録など、膨大なデータから個人の信用スコアをAIで自動算出。その算出データをもとに、より便利で優れたAI技術が開発され、今後の決済システムはさらなる進化が予測されています。
“現金主義”vs.“キャッシュレス化”。その勝敗の行方は?
とはいえ、日本でも、ローソンが「レジ無進化」を推し進めています(※実証実験が実際の店舗で行われ、「レジ無進化」は今春導入とのうわさも)。
加えて、アメリカ・シアトルにオープンしたAmazon GOによる「レジに人がいない無人コンビニ」、シンガポールの「Habitat」、アメリカの「Sam’s Club Now」など、世界で「レジレス店舗」という言葉が昨年大きな話題になったばかり。
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