「本日は休業いたします」── 2019年の正月、近所のスーパーやファミレスの店頭で、こんな張り紙を目にした人も多いのではないだろうか。 平成時代に入って、すっかり当たり前となった小売店や飲食店の正月営業。盆・暮れ・正月も関係なく営業するのはサービス業の宿命でもあるが、ここ最近は少し事情が変わってきている。とくに2018年から今年にかけての年末年始は、スーパーやコンビニ、大手飲食チェーンなどで休業する動きが広まり、ネット上では「あれ、お店やってないよ、困った!」「マジ? 閉まってる」といったつぶやきも……。一方で、店舗の正月休みに賛同する声も意外に多く、便利さに慣れきった消費者も好意的に受け止めているようだ。
2018~2019年の年末年始、どんな店舗が休業した?
まず、今年度(2018~2019年)の年末年始にかけて休業した、主な飲食チェーン店・小売店・サービス店をまとめて見てみよう。昨年度までと比較すると休業する店舗や日数は増加傾向にあり、年末年始の営業体制を見直す動きはますます広まっているようだ。
【飲食チェーン各社】
●幸楽苑/全国に520店舗展開するラーメンチェーンのうち、約400店舗で12月31日の15時以降と1月1日を休業。
●ロイヤルホールディングス/ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のほか、天丼チェーン「てんや」、ステーキチェーン「カウボーイ家族」の全店で1月1日を休業。
●大戸屋ごはん処/年末年始の利用客が少ないオフィス街の店舗を中心に、直営店の半数以上で12月31日と1日1日を休業。
●テンアイランド/全国に122店舗展開する居酒屋チェーン「旬鮮酒場天狗」「炭火串焼きテング酒場」の全店で、試験的に12月31日を一斉休業。来年度は元旦など他の日の休業も検討していくという。
【小売各社/食品スーパー・コンビニ】
●東急ストア/グループの「もとまちユニオン」を含め、全49店舗で10年ぶりに1月1日を休業。
●成城石井/全164店舗のうち、直営の路面店を中心に7割以上の店で1月1日を休業。
●マルエツ/ほぼ全店の290店舗で1月1日を休業。都市部の13店舗では1月2日も休業。
●ヤオコー/1月1日に加え、約40年ぶりに1月2日も休業。
●サミット/1月1日に加え、約20年ぶりに1月2日も休業。
●いなげや/1月1日に加え、約16年ぶりに1月2日も休業。
●セイコーマート/北海道と関東地方に展開するコンビニ約1200店舗のうち、半数以上の671店舗で1月1日を休業。
【サービス各社/携帯ショップ・住宅展示場】
●NTTドコモ/全国の携帯電話販売代理店のうち、約2100店舗で1月1日を休業。
●ソフトバンク/全国の携帯電話販売代理店のうち、約3400店舗で12月31日と1月1日を休業。
●大和ハウス工業/全国240ヵ所の展示場と99ヵ所の営業所で、1月1日~3日の三が日を休業。
政府の「働き方改革」や、社会構造・消費行動の変化が背景に
このように、大手企業やチェーン店でも年末年始の休業が広まっている理由としては、主に以下の2点が挙げられるだろう。
一つ目が、安倍政権の肝いり施策「働き方改革」の浸透である。
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