JR山手線の新駅の名前が「高輪ゲートウェイ」に決まった。 カタカナ単語が入った珍しい名前に決まったことで、世間は何かとザワついているようだが、この新駅が開業すると周辺地域、そして首都・東京にどのような影響が出てくるのだろうか。 新駅名決定のプロセスやその評判、建設中の駅の規模、そして周辺地域への経済波及効果などをまとめてみた。
ネット上では「駅名撤回」を求める署名運動も展開され、署名数は3万5000人を突破(2018年12月15日現在)したというから、その拒否反応はかなりのものだ。
JR東日本としては今のところ静観しているようだが、今後この問題がさらに大きくなれば、それなりの対応策を考えざるを得なくなるだろう。
新駅周辺は、六本木ヒルズより大きな再開発地域へ
「高輪ゲートウェイ」は、品川駅近くにあった車両基地跡地などを利用。およそ5000億円をかけて、周辺の約13ヘクタールの土地の再開発を進めている。これは東京ドーム3個分にあたり、ここに新駅舎と地上45階建てのオフィスビルなど7棟が建てられる予定だ。
JR東日本では、この再開発のコンセプトも「グローバルゲートウェイ品川」としている。
ちなみに六本木ヒルズは11.6ヘクタール、東京ミッドタウンは10.2ヘクタールなので、高輪ゲートウェイの規模も想像がつくだろう。都心部に残された、最後の巨大再開発プロジェクトと言えるのではないだろうか。
駅舎のデザインは、新国立競技場を設計した隈研吾氏が担当した。
折り紙をモチーフとした大屋根が特徴的で、膜や木などの素材を使用し、障子をイメージした明るい空間になるという。和風のデザインを前面に押し出すことにより、世界ビジネスに向けての “東京の顔”をイメージさせようとしているのだろう。
この新駅舎を中心に、JR東日本は「新駅と街が一体となった象徴的なにぎわい空間」を創出するという。
山手線新駅による経済効果は1兆4000億円
「高輪ゲートウェイ」の隣にある品川駅は、2027年にリニア中央新幹線が乗り入れる予定になっている。これが開通すれば名古屋まで45分程度、大阪も1時間10分程度で結ばれるようになる。
つまり、「高輪ゲートウェイ」周辺の再開発は、このリニア開通も視野に入れた品川・高輪エリア振興の巨大プロジェクトなのだ。まさに、新しい東京の玄関口、世界へのゲートウェイとなる駅が誕生するというわけだ。
不動産物件サイトの調査による「地価が値上がりしそうな街ランキング」では、JR品川駅が2015年から3年連続で3位にランキング。品川駅周辺の地価公示も、商業地で10.2%、住宅地で3.9%の上昇率を示している。
また、品川エリアのオフィスの空室率の状況でも、8.75%(2013年12月)から2.13%(2017年12月)と大幅に改善されている。周辺開発を見越した企業の流入が加速している。いま東京で一番注目を集めるエリアといっても過言ではないだろう。
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