PayPay(ペイペイ)……。まるでパンダの名前のようなキーワードが、初冬の街に旋風を巻き起こした。 それは、ソフトバンクとヤフーが共同で設立した、スマホによる決済システムの新会社PayPayの大型還元キャンペーンだ。当初は4ヵ月にわたる予定のものだったが、わずか10日で終了となってしまったこのキャンペーン。いったい何が起こっていたのか……、今回はその顛末をのぞいてみよう。
マスコミがこぞってとりあげたことで家電量販店に大行列が
これだけの還元額は過去に例がなく、2018年12月4日にスタートしたとたん、マスコミがこぞってとりあげ、テレビでCMを流れたことも相まって、加盟店、なかでも高額商品を売る家電の量販店などに買い物客が殺到。一時は、PayPayのサーバがダウンして、客が店頭で立ち往生する一幕まで現れた。
大手家電量販店のビックカメラでは、もともと8%のポイント還元を実施しているので、PayPayと合わせると28%もの実質値引きとなり、その情報がSNSで拡散されて、お店には長蛇の列が連日続く騒ぎになった。
10月にスタートしたばかりなのでまだ加盟店が少ないこともあり、一部の店に客が集中したのも混乱の原因となった。さらにこれだけ還元率が高いと、一部のユーザの間では最初からフリマサイトに出品して利ザヤを稼ごうとする転売目的も現れ、SNSが仲介した形となり、市場はますます混乱した。
10日間で500億円前後のすさまじい売れ行き
そして12月13日、キャンペーンがスタートして10日。還元予定の100億円はあっという間に達成し、この騒動はあっさり終了となった。このあまりにも早い幕切れは、誰にとっても想定外だった。
当初、PayPayサイドはキャンペーン設定期間を3月31日までとしていた。100億円達成が先になるとしても、こんなに前倒しになるとは思っても見なかったはずだろう。しかしながら、たった10日間で500億円前後がPayPayアプリを通して販売されたことになる。すさまじい売れ行きだ。
また、ユーザの間でも、早すぎるキャンペーン終了にはとまどいと失望が広がっている。今回の騒ぎを聞きつけ、初めてPayPayという会社を知り、ならばアプリをダウンロードして、登録して……と思っていた矢先のいきなりキャンペーン終了である。クリスマスのプレゼントにスマホ決済を試してみようと思っていた消費者も多かったはずだが、それらはあっさりと打ち止めとなってしまった。さぞ、がっかりであろう。
イメージダウン? それともソフトバンクの思惑通り?
今回の騒動、実はまだ完全に終わったわけではない。
キャンペーンは終了したものの、消費者のもつスマホのアプリにいま100億円が蓄積されている。このお金は2019年1月10日から各加盟店で順次使われ始めることになっている。キャンペーン期間中は20%の還元目的で大型店に集中したが、今度は身近なコンビニなどの小売店で使われることにもなる。これらの小売店にとって100億円は、ちょっとした特需になるのだろう。
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