少し気の早い話になるが、2019年のゴールデンウィークは、連続して10日におよぶ異例の大型連休になることが決まった。 「働き改革」の四文字が流行り言葉のようになっている昨今、働き過ぎといわれている日本人にとって、国が認める公休が増えれば気兼ねなく休めていいことずくめのような気がする。 しかし実際には、業種や職種によって、大きな試練が待ち受けているケースもありそうだ。その悲喜こもごもの事情を、様々な角度から検証してみた。
新天皇陛下即位の日を2019年限りの祝日と決定
内閣府の発表によれば、2019年の5月1日は、皇太子さまの天皇陛下即位にともない、この年だけに限って祝日とすることを決定。祝日に挟まれた日は休日とする法律が適用されるため、4月30と5月2日も休みとなり、その結果4月27日の土曜から5月6日の振替休日まで、連続10日間の超大型連休(図/2019年のゴールデンウィーク連続休暇の日程 参照)ということになった。これは、1948年に祝日法が施行されてから、最長の記録になるそうだ。
日ごろ働きづめのサラリーマンなどにとっては、この大型連休は心身ともにリフレッシュするいい機会になるだろう。なにしろ国が決めた休日なので、会社に願い出て、おそるおそる有給休暇をとるような後ろめたさは必要ない。胸を張って堂々と休めるのだ。学校も当然休みになるので、久しぶりに家族そろって出かければ、一家だんらんの貴重な機会になる。
恩恵を被る旅行業界、大型小売店、レジャー産業……
会社や学校が休みになれば、休みになった人たちをターゲットにした産業が活気づく。それは経済の活性化につながるため、国や行政は国民を休ませるだけでなく、お金が動くことにも大いに期待を寄せている。
旅行業界にとっては千載一遇のチャンス。この機会に海外旅行を計画する人がどっと出て、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなどの大手には、すでに昨年の5倍以上の予約が入っているという。国内旅行も、北海道や九州、あるいは日ごろなかなか行けない離島などへと、大型旅行の申し込みが増えているとのことだ。
同様に、百貨店やアウトレット、家電量販店など大型の小売店なども活気づいている。旅行に行くためにコンパクトカメラを購入しようという人が現れるのは当然。この機会にゆっくりと買い物や食事をしようという人たちも増え、街にはどっと人が繰り出す。
遊園地や各地のテーマパークなども記録的な動員が期待されており、企業の業績に好影響がでるという期待が膨らんでいる。
市民生活が機能不全に陥る可能性も?
しかし、この大型連休、だれもが手放しで喜んでいるわけではない。実は、各方面からさまざまな不安や不満の声が出ているのも事実。以下に、その具体的な例をあげながら、身近なところで連続10日間の超大型連休がどのような影響をおよぼすのかを見ていこう。
【日給・時間給労働者は実質賃金カット?】
公務員や大企業の正社員にとっては有給休暇も減らさずに休めるいい機会だが、日給や時間給などの非正規従業員のなかには、会社が休業すればその日の仕事がなくなり、その分賃金が払われないという事態が起こってくる。公休が多くなればなるほど、収入が減るという皮肉な結果が生まれてくるのだ。お気楽な海外旅行組とは真反対の死活問題が起こってくる。
最近は、非正規社員にも有給休暇が導入されているので、この期間にとればいいという発想もあるが、大切な休暇の機会をここに充当されるのはまったくお門違い。自分が休みたいときに休めないのでは、実質賃金カットに変わりはない。これは切実な問題だ。
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