2018年のプロ野球日本シリーズは、パリーグ2位から勝ち上がった福岡ソフトバンクホークスが、セリーグ優勝の広島東洋カープを破り日本一を決めた。 昨今、プロ野球人気が沸騰しており、また両チームともに西日本きっての人気球団。シリーズ観戦チケットはプラチナチケットとして、入手困難を極めた。 そのホークスの本拠地球場である福岡ヤフオク!ドームをはじめ、プロ野球数球団がユニークなチケット販売の方法を導入し、注目を集めている。 その名も「ダイナミックプライシング」。いったいどのような手法なのか、さっそく見てみよう。
そこで早速、近年、実際に行われているダイナミックプライシングの事例を見ていこう。
●事例/福岡ソフトバンクホークス(プロ野球)
プロ球界で、いち早くダイナミックプライシングを導入したのがホークス。三井物産と連携し、本拠地ヤフオク!ドームでのチケット販売に、2016年から試験的に開始した。
2016年シーズンは、観客席の列ごとに、
(1)過去にその席がヤフオクドームの、5万2000席の中で何番目に買われたか
(2)現在の対象チケットの売れ行き
(3)天候やホークスの順位、相手チーム、開始時刻や曜日
上記のような項目のビッグデータを活用し、それぞれの観客席に異なる価格を設定した。
価格は100円単位で上下させ、現在は選手の2000安打達成や先発ピッチャーなど、さらに多くのデータによっても価格を変えられる。通路側の席よりも中央寄りの席のほうが人気薄のため、そうした条件によっても価格を変動させることができ、同じ席種でもより細かい価格変動が可能になっている。
同様のダイナミックプライシングは、楽天と連携した東北楽天ゴールデンイーグルス、ぴあと連携した東京ヤクルトスワローズなどでも導入されている。
●事例/横浜F・マリノス(サッカーJ1)
横浜F・マリノスは2018年6月から、AIを使ったダイナミックプライシングを導入している。
J1チームで同制度を本格採用するのは初めてのことで、対戦相手、前売り券の販売状況、天候などのデータをもとに、一日ごとにチケット価格を変動させることが実現している。
価格は、通路で区切られたブロック(200席前後)単位で変動。当日券価格も変動させる。当初は日産スタジアムの約2000席で価格を変動させ、来シーズン以降には対象となる席種や席数を拡大する方針という。変動の幅は最大500円程度。
●事例/アメリカでは……
海の向こうアメリカでは、さらに変動価格が進化しており、2013年には米アマゾン・ドット・コムが、1日に平均250万回以上も商品の価格を変動させていた、とされている。
また、カリフォルニア州サンディエゴのパブでは、ビールやウイスキーなどの価格が、客の需要によってリアルタイムに変動するシステムを採用したというニュースもあった。
加えて、自宅や所有物件を旅行者に貸し出す民泊の現場にも、AIが学習して作り上げたアルゴリズム(データ処理の方法)によって、宿泊料金を1日単位で決めるサービスも登場している。
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