この秋のドラマ『僕らは奇跡ででいている』のウサギとカメの理論が面白いです。 従来の解釈と異なるウサギとカメの捉え方が、自己肯定感について考える助けになります。 セラピーの相談者には、自己肯定感が低く、ウサギになることでバランスをとる人も少なくありません。しかしそれで、心に潜む罠につかまることがあります。 ウサギとカメのウサギは、自分がすごいと証明したい、というのがこのドラマで言われたこと。ウサギをしても、自己肯定感の低さは本当に解消されることはありません。それがウサギ的自己肯定感の罠です 一方で、カメが生きる世界を知った時、自分のウサギ的側面から解放され、自分のありのままを受け容れることにつながります。 さて、ウサギとカメとは、何なのでしょうか。 そして、自己を肯定するプロセスとして教えてくれたことは、どんなことでしょうか?
でも、生き物のことだけは誰にも負けたくないと思っているうちに
すごいことをやらなければいけない、と思うようになりました
すると、生き物の観察が楽しくなくなりました。辛くなりました…眠れなくなりました
僕の祖父は やりたければやればいい と笑っていました
理科ができてもできなくても、僕は、居ていいんだなぁって思いました
そうしたら、よく眠れるようになりました
生き物の観察をまたやりたいと思うようになりました
僕はできないことがたくさんありました。今もありますが、やりたいことをやれて有難いです」
この言葉は、存在として「人からすごい!」と思われるために努力をする必要なんてなかった、
自分はすごくなくても存在を認められたことで、ウサギを卒業できたことを伝えています。
▶ すごいところ、100個言えますか
先ほどの虹一クンのお母さんは、彼を世間基準に合わせようとするうちに、彼の「できないこと」ばかり見ていたようです。
だから一輝が
「僕は、虹一クンのすごいところを100個、言えます」と言った時、
虹一クンのお母さんは一瞬、虚を突かれたようになりました。
別の場面で、虹一クンのお母さんは、
「虹一、ダメなお母さんでごめんね」と虹一クンに謝るのですが
「そんなことない。僕、お母さんのすごいところ 100個言えます」と虹一クン。
「子供に100個、すごいところを言ってもらえるお母さんは、すごいですね」という一輝。
すごいと言って、挙げてもらった事柄は、誰でもできるといえばできる内容ではありました
母は「それって 誰でもできることではないんですか」と聞き、
一輝は「誰でもできることは、すごくないんですか?」 と答えました。
育美も自分のすごいところを100個、言うシーンがありました。
「メイクします」とか 「歯を磨く」とか、当たり前のことかもしれません。
もちろん、本来優位になるというより、学びたくてアメリカに留学したことも、「すごい」になります。
実は、すごいとか、誰でもできるということは、その人の主観、思い込みです。
「すごい」基準のハードルを上げるのも、自分自身。
そのハードルを越えるのために足りないところを補おうとしてウサギになりますが、本人が足りていないと思っているだけかもしれません。
セラピーの相談者に「あなたの良い所は何?」と聞くと、答えに詰まる人がよくいます。
そして聞いてないのに「ダメなところなら、いくらでも言えますが…」と言う人も…。
次のページ▶ それでも自己肯定感が上がらないなら
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2015.07.17
2009.10.31
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。