この秋のドラマ『僕らは奇跡ででいている』のウサギとカメの理論が面白いです。 従来の解釈と異なるウサギとカメの捉え方が、自己肯定感について考える助けになります。 セラピーの相談者には、自己肯定感が低く、ウサギになることでバランスをとる人も少なくありません。しかしそれで、心に潜む罠につかまることがあります。 ウサギとカメのウサギは、自分がすごいと証明したい、というのがこのドラマで言われたこと。ウサギをしても、自己肯定感の低さは本当に解消されることはありません。それがウサギ的自己肯定感の罠です 一方で、カメが生きる世界を知った時、自分のウサギ的側面から解放され、自分のありのままを受け容れることにつながります。 さて、ウサギとカメとは、何なのでしょうか。 そして、自己を肯定するプロセスとして教えてくれたことは、どんなことでしょうか?
自己肯定感が高いとか低いとか言いますが、現実でも高い人はそんなに多くはありません。
今年の心理ジャンルの本に「自己肯定感を上げる」本が目に付いたのもその現われでしょう。
▶ ニセの自己肯定感で自分をだまさない
人より自分を優位に立たせ、自己肯定感を上げようとする行動は、多くの人がやっています
そうでもしないと、自分を支えられないからです。
たとえば、資格や技術を身に着けること、
出世して、肩書をアップさせること
難度の高い、何かに挑戦すること ~ 難関校受験、就くのが難しい仕事、競技で勝つ…
そのこと自体、悪いわけではありません。
そのチャレンジによって、人は成長をしますから。
ここで大切なことは「ニセの自己肯定感で自分をだまさないこと」ではないでしょうか。
本質的な自信の無さを隠して自己肯定感が低いまま、外付けの何かで自分の価値が上がったように見せても、結果的には、自己肯定感は上がっていない…
たぶん別の何かを求めて達成しても、自己肯定感が上がらないことを繰り返すでしょう。
▶ 指示をしまくるウサギ
悪い方に出ると、優位性を示すために人に指示をして従わせる… というパターンもあります。
会社の上司が、できる部下を指示に従わせようとし過ぎるなら、そのパターンかもしれません。
会社だけでなく、このパターンは親子でもあり勝ちです。
このドラマには、虹一クンという絵を描くのが大好きな小学生の男の子が出てきます。
自分の世界を受け容れてくれる一輝になついて、一輝に着いて動物園で絵を描くのに夢中になり、 いなくなったと騒ぎになったことがあったほど。
虹一クンは、学校の勉強はあまり得意ではなく、彼のお母さんは、
そんな虹一クンを塾に行かせて勉強についていけるよう、必死です。
絵を描くことより、勉強をするよう指示しまくっていたのも、
自分の子供が「ふつう」から外れたと思われることが、たまらないようです。
それは虹一クンの問題というより、
彼のお母さんが、どんな母親であればいいのかを世間の「ふつう」基準に求め
子供がそこからはみ出すと、自分は良い母親ではなくなると不安だったからでしょう。
それでも一輝は、「虹一クンは、お母さんが大好きです」と言います。
▶ ウサギを卒業できたわけ
ところで、今見える素晴らしい世界を楽しむために毎日を過ごしているカメのような一輝ですが、 かつて自分もウサギだったと告白します。
「中学生の時、せみの研究ですごいって言われて、理科クラブを続けました。
僕をばかにした人を見返したいとも思いました。
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2015.07.17
2009.10.31
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。