この秋のドラマ『僕らは奇跡ででいている』のウサギとカメの理論が面白いです。 従来の解釈と異なるウサギとカメの捉え方が、自己肯定感について考える助けになります。 セラピーの相談者には、自己肯定感が低く、ウサギになることでバランスをとる人も少なくありません。しかしそれで、心に潜む罠につかまることがあります。 ウサギとカメのウサギは、自分がすごいと証明したい、というのがこのドラマで言われたこと。ウサギをしても、自己肯定感の低さは本当に解消されることはありません。それがウサギ的自己肯定感の罠です 一方で、カメが生きる世界を知った時、自分のウサギ的側面から解放され、自分のありのままを受け容れることにつながります。 さて、ウサギとカメとは、何なのでしょうか。 そして、自己を肯定するプロセスとして教えてくれたことは、どんなことでしょうか?
今回もまた、ドラマからお伝えしたいことがあります。
この秋のドラマの中で、私のセラピー・アンテナにひっかかった言葉がありました。
▶ あなたは、ウサギとカメのどちらですか?
「私はウサギです
自分はすごいって証明したいんですよ
本当は自信が無いから…
本当は自分がキライみたいです
どうしたら自分と仲良くなれるんですか」
実はセラピーに訪れる人に「あるある」な内容です。
この会話は、ドラマ「僕らは奇跡でできている」の中で、歯科医の育美(榮倉奈々さん)が 一輝(高橋一生さん)に言った言葉です。
一輝は、大学で動物行動学の講師をしていて育美の歯科の患者です。
ウサギと言うのは、「ウサギとカメ」のウサギです。
このドラマの最初の回で、二人がしていた会話があります。
育美は一輝の一輝に言われた「先生はウサギっぽい」「ウサギはカメを見下すために走る」という言葉にずっと引っかかっていました。
育美は、反論するように、
育美「こう見えて、ウサギじゃないんですよ、私。意外と努力型?器用じゃないけどコツコツ頑 張るタイプで、どっちかっていうとカメですね。」
一輝「コツコツ頑張るのが、カメなんですか?」
育美「そうですよね?」
一輝「物語の解釈は自由ですから。
カメは、全然頑張っていません。競争にも勝ち負けにも興味が無いんです。
カメは、ただ道を前に進むこと自体が楽しいんです。
想像してみてください。
地面を這いつくばって前に進むカメにしか見えない、地面から数センチの世界。
その素晴らしい世界を楽しむためだけに、カメは、ただ前に進むんです。
カメの世界にもはやウサギの存在はなく、
寝ているウサギに声をかけなかったのも、そのためです。」
そして育実は、ウサギの解釈を尋ねました。
一輝「ウサギは、カメを見下すために走るんです。自分は、すごいって証明したいんです。」
育実は、一輝の言葉に愕然として、言いました。
「私のどこがウサギなんですか…?」
育実は、これまで築いたものが足元からばらばらと崩れていくような感覚に陥りました。
▶ウサギの行動は、人を見下すため…?
育美は審美歯科の勉強をしにアメリカに留学し、クリニックの経営のために経営学を学び
「私は、コツコツと努力してきたんです!」と言う思いが強い。
女性誌の輝く女性として受けた取材にも、そんな風に答えていました。
まさかの一輝の「先生はウサギ」発言で、今までの自分の努力が全否定されたかのようです。
そんな経緯があったのですが、しばらくして
「私はウサギなんです。自分ですごいってことを証明したいんです」と語り始めました。
自分でも自信が無いと、本音を話し始めたのが、冒頭で彼女が語った言葉でした。
次のページ▶ ニセの自己肯定感で自分をだまさない
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2015.07.17
2009.10.31
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。