世界を見渡せば、食べるものがなくて飢餓に苦しむ子どもたちがたくさんいるというのに、日本は飽食の時代、もの余りの時代といわれている。 ユニセフの報告によると、世界の飢餓人口増加は続いており、その数は2017年に8億2100万人にのぼり、全世界の子ども9人のうち1人が飢えに苦しんでいることになる。 しかしご存じの通り、国内では品質に問題があるわけでもないのに、捨てられてしまう食品が膨大な量にのぼっている。そんな中、こうした無駄な食品ロスを解消するための〈食品ロスアプリ〉が最近登場し、多いに注目を集めている。〈食品ロスアプリ〉とは、いったいどんな仕組みなのだろうか。調べてみた。
よくよく考えれば、これは昔からあるスーパーの閉店間際セールと同じ仕組みだが、スマホのアプリを駆使することで、売り手側は情報の発信エリアを膨大に増やすことができ、引き合いが多くなって商品処分の可能性が大きくなる。
またとても大事な点は、店頭で値下げをアピールするわけではないので、お店にやってきた客には安売りを知られる可能性が少ないことだ。安売りしていることによる商品や、お店のブランドイメージを損ねることが少なくなるメリットがあるのだ。
一方の消費者は、通常の販売価格の20%~50%引き、場合によっては80%引きの破格値で食品を購入できる。この割引感は食費削減に貢献大となるだろう。
そして、〈TABETE(タベテ)〉を開発したベンチャー企業の〈コーキング〉は、お店から売り上げの35%を手数料として受け取る。売り手、買い手、アプリ会社、3者ともWin-Winで、しかも食品ロス解消で社会貢献まで果たしている構図ができあがっていることになる。
月々1980円の定額制で、お得に食品ゲット!
〈食品ロス解消アプリ〉は、ほかにも続々誕生している。
なかでも、新しいスタイルとして注目されているのが、登録会員による定額制スタイルだ。東京のベンチャー企業〈シフト〉が2018年の4月に立ち上げた〈ReduceGo(レデュースゴー)〉では、消費者側が毎月1980円の定額会費を払えば、会費の範囲内で1日2回まで商品を購入でき、追加の料金はいっさいかからないというシステムをとっている。
定額制だと、利用者はモトをとろうと注文する機会が増え、その分、売り手側の商品処分の機会が増える計算になる。内訳は、〈シフト〉が収入の59%を加盟店に分配し、2%を寄付にまわしているとされている。そして、残りの39%が〈シフト〉に残る仕組みだ。登録者数はすでに4万人以上にのぼり、加盟店は東京を中心にお弁当、惣菜、パンなどを扱うお店200店以上にのぼっている。
ほかに注目を集めているのが、東京品川発のショッピングサイト〈KURADASHI(クラダシ)〉。
ここでは、賞味期限が近くなった商品を各メーカーからかき集め、定価の40%ほどの大幅ダンピングで消費者に提供している。
こちらも簡単な会員登録さえすれば、大手メーカーの有名サプリなども驚くほどの価格で購入できる。企業側としては、ほとんどダンピングに近い価格での販売にもかかわらず、小売店を通していないため流通業者に迷惑をかけることなく処分でき、また社会貢献という名目が成り立っていることで、ダンピングの後ろめたさも解消している。
次のページ〈食品ロス解消アプリ〉が抱える課題
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31