いま日本で加速する「キャッシュレス社会」の光と影《Part.1》

2018.10.30

ライフ・ソーシャル

いま日本で加速する「キャッシュレス社会」の光と影《Part.1》

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南青山リーダーズ株式会社

いま日本で、現金を使わない「キャッシュレス化」が急速に進んでいる。 つい数年前までは、クレジットカードや電子マネーが使えない店も多かったが、いまや日常の買い物や支払いは、ほとんどキャッシュレスで済んでしまう。筆者自身、とりあえず財布に現金は入っているものの、ここ最近はまったく使った覚えがない。 ただ、海外と比べると日本のキャッシュレス化はまだまだ遅れており、近年のインバウンド増加や慢性的な人手不足などを受け、さらなるキャッシュレス決済の普及・拡大が急がれている。そこで今回は、国内のキャッシュレス決済の現状とともに、現金を使わない社会のメリット・デメリットについて考えてみたい。

ここ数年でキャッシュレス決済の比率が倍増した日本

まずは、日本のキャッシュレス比率と決済額の推移を見てみよう。
経済産業省のデータによると、2008年からの8年間で民間消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は約2倍、決済額は約1.6倍に伸びている(グラフ参照)。

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ここ数年でキャッシュレス化が急速に進んだ理由としては、主に以下の3点が考えられる。
《1》 Amazonや楽天などのネットショッピングが一般化し、支払いにクレジットカードを使う人が増えたため。
《2》 クレジットカードや電子マネーに対応する店舗・サービスが増え、日常生活の中で気軽に利用できるシーンが広がったため。
《3》 スマートフォンやフィンテックサービスが普及し、モバイル決済を利用する人が増えたため。

【筆者のケース/消費支出の9割以上がキャッシュレス決済に】
ちなみに筆者の場合、日常的な消費支出に占めるキャッシュレス決済の比率は9割以上。普段の買い物や飲食店での支払い、電車・バス・タクシーの運賃や高速道路の通行料、自動販売機やコインパーキングの代金、携帯電話やネットの通信料、公共料金や保険料、新聞や雑誌の定期購読料、病院で支払う自分やペットの医療費……など、すべてクレジットカードか電子マネーで決済している。
カード類で支払えばお得なポイントが付くうえ、出先で所持金が足りずに焦ったり、いちいちATMに行って現金をおろす手間もナシ。さすがに冠婚葬祭では現金を出すが、それも将来どうなるかはわからない。

注文から会計まで電子化する飲食業界の最前線

とくに最近は、飲食業界でのキャッシュレス化・省力化が一気に加速している。人手不足や人件費の高騰が続く中、現金管理の業務を効率化するとともに、混雑時の注文・会計などの待ち時間を解消して来店客を増やす狙いがあるようだ。

たとえば、ファミリーレストランの「デニーズ」では今年(2018年)9月、スマートフォンでメニューのオーダーから支払いまでできる「デジタル注文決済サービス」を実験的にスタート。客はテーブル上のQRコードをスマートフォンで読み取り、デジタルメニューを表示して料理をオーダー。そのまま登録したクレジットカードや電子マネーで決済できるので、注文・会計業務の大幅な省力化が可能となる。現在のところ実験店舗は東京都新宿区の1店のみだが、デニーズでは2019年2月までに、同様のシステムを導入した店舗を約100店に拡大する予定という。

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