メディアを介して商品を購入する通信販売のスタイルが、新しい時代を迎えている。 そこでみなさんは「ライブコマース」という言葉をご存じだろうか。売り手が一方的に情報を流すだけでなく、買う側もネットを通じて、リアルタイムに質問や値段交渉ができる新しいEコマースの形だ。つまりライブコマースとは、インターネット時代ならではのインタラクティブ(双方向)通信販売になる。まだ認知度は日本国民全体の3割ほどとも言われているが、ネットショッピングの主流になる日も近そうだ。そこが今回は、ライブコマースの“いま”を探ってみた。
横山剣のCD実演販売が、大きな話題に
2018年8月2日、メルカリのライブコマース「メルカリチャンネル」で、ユニークな実演販売が行われた。クレイジーケンバンドの横山剣が出演し、3年ぶりに発売するCDをライブで宣伝。
その中身を細かく説明すると、ネット上でその様子を見ていたユーザーから次々と質問やコメントが殺到。その場で続々と購入ボタンが押され、またたく間にCDが売れていった。この実演販売は、インターネット上で大きな反響を呼んだ。
ライブコマース……。まだ耳に新しく、なじみの薄い言葉だが、中身はいたってシンプルだ。
長年、私たちに身近な通信販売としてはテレビ通販があるが、これは一方的にテレビ側の売り手が商品を紹介し、購入希望者は電話などで注文してきた。これを、インターネットを通じたライブで、しかも売る側と買う側双方向で、内容確認などのやりとりしながら注文にこぎつけるというシステムだ。
言葉巧みな実演販売が、ついにネットの世界へ!
思い出してほしい。
デパートの店内で、屋外の商店街通路で……と、様々な場所で実演販売が行われていた。巧みな言葉で調理器具を客の目の前で手際よく操って、「私の家でも使いたい!」と思わせる対面型の実演販売業の起源は、遙か平安時代にまで溯る。その後も江戸時代には「がまの油売り」、明治時代には「バナナのたたき売り」へと変化し、現在では24時間型のテレビショッピングチャンネルが登場していることはご存じの通りだ。
口上でモノを売る手法がいまインターネットの動画上で行われ、それこそ世界中に発信されているというわけだ。ひと昔前の実演販売なら10人ほど人が集まっていれば活況を呈していたが、ライブコマースでは店頭での実演販売の数十万倍の人が見守っていることになるだろう。
横山剣のような著名人がパフォーマンスすれば、ユーザの注目度が上がるのはもちろんだが、商品の内容さえインパクトがあれば、一般の主婦やサラリーマンでも参加することができる。ここがインターネット時代の通信販売のすごいとところだ。
売り手と買い手がネット上で丁々発止
では、なぜライブコマースが盛り上がっているのか。そのキーのひとつがメルカリの存在だ。
ここ1~2年で、メルカリでの商品売買が爆発的ヒットとなっているのはご存じの通り。しかし、メルカリにも限界がある。出品者が自由に写真をアップして値段設定できるところまではいいが、情報提供は売り手側の一方通行だ。
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