「ストロー廃止で何が変わる? マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題」として前編・中編でお送りしてきたわずか数カ月の間に、この問題は刻々と変化を見せています。
特にストローは2003年のSARS流行後、感染症に敏感になった人々が一斉に買い求め、使用することが当然となっていたことから、1日でおよそ5億本もの本数が使い捨てられてきました。スターバックスやマクドナルドなどの企業やシアトルの取り組みにより、米国のプラごみが今後どう推移していくのか……世界の手本となってほしいところです。
ペットボトルなど、プラごみが増え続ける日本
日本でもプラごみは増え続けており、特にペットボトルの消費量の増加は1990年代半ばからと言われています。ペットボトルが登場した当初は1.5リットルなどの大型サイズしかありませんでしたが、規制緩和により500ミリリットル以下の容量が許可されると、次々に少ないサイズでの飲料や調味料などが発売されました。ちまたに自販機が増え、コンビニが台頭したことも消費が増えた要因でしょう。今の子どもたちは、瓶に入った牛乳やジュースを知らないかもしれませんね(画像は、日本海のとある海岸を覆う大量のゴミ)。
瓶よりもはるかに軽く、割れる心配がないペットボトルは扱いやすく持ち歩くのに便利だとして、当然のように受け入れられ、瞬く間に日本中に広まっていきます。結果、街中にあふれたのがプラごみでした。現在80%以上の回収率でリサイクルがされていますが、消費量が多く追いついていないのが実状です。
中国で広がる、プラごみ買い取り禁止の余波
ごみの総量1位の中国はこれまで、世界中から大量のごみを買い取り、それをリサイクルすることで経済成長を遂げてきました。輸入していたのは資源ごみで、主にプラごみです。石油原料よりもはるかに安い貴重な資源として、プラごみ輸入量は2000年代に入ると年間200万トンを超え、世界中のプラごみの6割にのぼるほどに。
ところが、このリサイクルが中国全土に重大な環境汚染をもたらしました。輸入されるプラごみは分別されず汚れたままのため、手作業で洗浄しなければなりません。その際に使う薬品や汚泥がそのまま川に流され、環境汚染が進んだのです。
そこで、中国政府は2018年1月より、資源ごみの輸入を全面的に禁止。経済状況がよくなり自国のプラスチック消費が増大しただけでなく、他国のプラごみが環境汚染を引き起こしたことを重く受け止め、輸入禁止に踏み切ったのです。困ったのはごみを輸出してきた国々でした。古紙を中心に廃棄物を輸出していた米国では、行き場を失った古紙が山積みになり、業者が悲鳴を上げているといいます。日本も例外ではなく、年間100万トンものプラごみを中国に輸出していたというから驚きです。自国のごみを他国に輸出していたとは!
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