人員も店舗も省力化 ── 生き残りをかけてインフラ改革を推進する銀行業界

2018.10.04

ライフ・ソーシャル

人員も店舗も省力化 ── 生き残りをかけてインフラ改革を推進する銀行業界

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南青山リーダーズ株式会社

いま、三大メガバンクをはじめとする国内の大手銀行で、人員や店舗網のスリム化が加速している。 カウンターの向こうで大勢の行員が働く従来型の大型店舗は減り、デジタル技術で省力化した少人数の軽量店舗や、相談特化型の小型店舗が次々と登場。ネットバンキングやスマホ決済など、フィンテックサービスの導入が年々進み、実店舗への来客数が大幅に減っているためだ。

ネットショッピングが普及し、リアル店舗へ買い物に行く人が減ったように、銀行も「わざわざ足を運んで現金をやり取りする場所」ではなくなりつつある。こうした顧客行動の変化やキャッシュレス社会の流れを受け、銀行業界では「非対面チャネル」「店舗レス・軽量化」へのシフトが急速に進む。

もちろんその背景には、技術革新と同時にコスト削減という厳しい懐事情もある。長びく超低金利、金融市場の環境の変化、人口減などの諸課題に直面し、生き残りをかけてインフラ改革に取り組む銀行業界の“いま”にフォーカスする。

店舗網の縮小・再構築を進める「三菱UFJ」「みずほ」

今年5月、業界最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2023年度までに三菱UFJ銀行の従来型店舗を半減させ、窓口業務を自動化した「セルフ型」の次世代店舗に転換すると発表。今後6年間でセルフ型を70~100店まで増やしつつ、銀行全体の総店舗数は2割カットするという。

セルフ型の店舗には従来型のような窓口はないが、公共料金の支払いができる高機能ATMや、住宅ローンなどの相談に対応するテレビ電話を設置。1店舗あたり2~3名の案内係のみで運営でき、広い事務スペースも不要なため、従来型と比べて大幅な省力化とコストカットが可能となる。

さらに、MUFGでは独自のデジタル通貨「MUFGコイン」の実証実験や、資産運用の相談などに対応するAIの開発も進めており、非対面チャネルを拡充しつつ、対面チャネルには先端技術を投入して、業務運営の効率化につなげていく狙いだ。

みずほフィナンシャルグループも店舗網の再構築を推進しており、すでに傘下の銀行・信託・証券のサービスを一体化した共同店舗を約190店展開。さらに、2024年度までに共同店舗を220店に増やす一方、総店舗数は現在の約500店から400店程度にまで削減するという。グループ全体の拠点数を減らしてコスト削減を図りつつ、店舗の共同化を進めて幅広い金融ニーズにワンストップで対応していく方針だ。

小型店や相談特化型の店舗を展開する「三井住友」「りそな」

一方で店舗数は減らさず、店舗機能・規模の見直しやデジタル化で業務効率化を図る銀行もある。

三井住友フィナンシャルグループは、店舗数を維持しつつ機能を見直すリテール改革により、2017年からの3年で2000億円のコスト削減を目指している。まずは、2019年度までに全国の約430店舗を「ペーパーレスの次世代店舗」に移行させ、事務処理作業の約7割を削減。電子端末を活用した業務効率化で事務スペースを縮小し、少人数体制の小型店や個人客専用の機能特化型店舗を増やしていくという。

次のページ時代の変化とともに、自らも変わり続ける銀行が勝ち残る

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