ものやサービスの値段は時代によって変わるものです。「高い」「安い」の基準になっている貨幣の価値も時代によって大きく変わります。 さまざまな分野のものやサービスの「お値段」を比較してみましょう。今回は、映画館の入場料がテーマ。いわば「映画のお値段」です。夏休みの季節、昔は子どものための怪獣映画と漫画、アニメなどが組み合わされた娯楽映画のセットが封切られ、映画館は親子連れでいっぱいでした。最近は、そうした光景はあまり見られなくなりましたね。現在は娯楽が多様化しているだけでなく、映画もDVDやネット配信で楽しむ時代。その変化も大きく影響しているのでしょう。そこで今回は、かつての「娯楽の王様・映画」の入場料の変遷を眺めてみましょう。
世界で一番高い? 日本の映画館入館料
1993年には、封切館の入場館料金は1800円に。そう、私たちがいま劇場に足を運んだ際の入場料です。この価格は現在までほぼ変わっていません。いわば「高止まり」の状態で推移していて、このお値段は「世界で一番高い」とも言われているのです。
ただ近年、シニア料金、カップル料金、映画の日サービス、などさまざまな割引制度が行われているため、映画館入場料の平均は1200~1300円程度といったところではないでしょうか。1000円程度で少し前の映画を見ることのできる名画座もなくなってしまったわけではありません。
現在では家庭テレビも大画面化しましたし、レンタルディスクに加えて、月額固定のストリーミングサービスも普及しましたから、映画館に入るという行為自体の価値が変わってしまったのかもしれません。ライフメディアのリサーチバンクによると、映画館で半年に一度以上観賞する人は、何らかのかたちで映画を見る人のうち4割程度である、という数字もあります。
個性的なミニシアターや名画座は、まだまだ奮闘中
映画それ自体が、なんといってもテクノロジーの産物ですから、技術が変われば映画も変わる、のは当然のことですね。
最近ではその技術を駆使し、様々な趣向を凝らした映画館も話題を集めています。
横浜駅西口から徒歩5分の場所に立つ「DMM VR THEATER」は、最新のテクノロジーが集結している“世界初の常設3DCGホログラフィックシアター”。3DCGでスクリーンに映し出された映像は、目の前に人が立っているかのような臨場感で“これぞテクノロジー”といったところですが、シアターと名はつくものの、映像演出ライブ、アーティスト、ユニットの特別映像・ライブ・舞台、フルCGアニメーションなどの公演を多数実施。※価格は公演によって異なる。
また、京浜急行線戸部駅に近い「シネマノヴェチェント」は、固定席28(エクストラ席含めて31席)の日本最小映画館。その“こぢんまり”とした規模からサポーターズ会員を随時募集しているようで、さながら部活やサークルのような雰囲気。気になる入館料1100円、フィルム上映1300円。
一方、2017年12月2日(土)をもって閉館したものの、横浜MM21の高層タワーマンション群の中に佇む「ブリリア ショートショート シアター」も、オープン時は大きな話題を集めました。同シアターはショートフィルム専門映画館で、長くて25分、短いものはわすが1分のショートフィルム映像ばかりを取り揃え、一回のプログラムで1時間分ほどがまとめて上映されていたそう。
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