「2時間飲み放題」を掲げ、低価格で飲食を提供する居酒屋は、もうはるか昔から私たちにとって当たり前の存在になっている。 さらに最近は、「月3000円でドリンク飲み放題」の居酒屋、「月約7万円で食べ放題」のステーキレストランなど、その日だけではなく月単位で客の獲得を狙ったサービスも多くなり、さまざまな「定額制の飲み放題・食べ放題」サービスが増えている。 また、飲食店に止まらず、いろいろな分野で「定額で○○放題」のサービスが目立つようにもなっている。 「サブスクリプション・ビジネス」といわれるこの「定額制」サービス。ここにきてなぜ急速に増加し、広がっているのだろうか?
●自社ブランドの価値を下げる危険性がある。
せっかくのサービスも、定額・使い放題とするがために安価なものだと認識され、自社のブランドの価値を下げてしまう危険性を秘めている。
●利用者にとっての“お得さ”を持たせ続けなくてはいけない。
利用者に“お得さ”を感じてもらう価格設定を維持しなくてはならないうえ、提供する商品やサービスに新鮮味を持たせ続ける必要がある。利用者に早々に解約されないよう、さまざまな努力が必要となる点は、“一回売ってしまえば終わり”という従来型ビジネスモデルとの大きな違いだ。
食、クルマ、レジャー……、多方面に広がる新サービス
それでは、実際にどのようなサブスクリプション・ビジネスがあるのか、具体的な事例を見てみよう。
※下記に紹介するさまざまな内容は、価格、サービス内容、期間に変化が生じる可能性がありますので、あらかじめご了解ください。
●月額定額制ドリンク飲み放題サービス
「柚柚」「北六」「酒と和みと肉と野菜」「竹取の隠れ家」など、アンドモワ居酒屋30店舗で販売する「ONE MONTH MOWA PACK(ワンマンスモアパック)」は、居酒屋業界初の試みとしてスタートした月額定額制ドリンク飲み放題サービス。
購入したカードの提示で、期間内はドリンク全250種類(生ビール含む)、120分飲み放題となる。
料金は1カ月3000円〜6カ月1万3000円までの4種類がある。
●月額制ステーキ食べ放題
ザ・ステーキ六本木で行っている「ステーキ定額パスポート」は、専用アプリからこのパスポートを購入し、入店時に提示すると、看板メニューの「1ポンドステーキ」や「ハーフポンドステーキ」を、1営業日1枚×1カ月間食べることができるサービス。
1ポンドステーキ用パスポートは 6万4800円(先着15名)、ハーフポンドステーキ用パスポートは 2万9800円(先着30名)。
1ポンドステーキは定価3700円だから、1カ月最大31枚食べれば最大4万9900円、ハーフポンドステーキは定価2200円で、31枚食べれば最大3万8400円のお得になる。
●月額制ラーメン食べ放題サービス
首都圏に展開する野郎ラーメンが行っているのは「1日一杯野郎ラーメン生活」。
専用アプリを購入し、店頭で提示すれば、看板商品の「豚骨野郎」(780円)、「汁無し野郎」(830円)と「味噌野郎」(880円)の3つのラーメンの中から、1日1杯月額8600円の定額で提供するというものだ。「豚骨野郎」なら、12杯食べればもとが取れる。
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