キャリアデザインに対してキャリアドリフトと言う言葉があります。 ドリフトとは「漂流する」という意味ですから、デザインとは対極です。 人生には予想外なことが起こります。それゆえキャリアはデザインするものではなく、デザインするのはむしろ危険である。それよりは、現在の状況の中で最善の努力をしていればいい、偶然の中でそれが生きてくるという考え方です。 人生の転機は、多かれ少なかれどんな人にもあります。 そんな時、先が見えなくても上手くドリフトできれば思わぬ何かに出会えるかもしれません。 一方で本来の流れを滞らせる感情や思い込みなどが、葛藤を生むことになりかねません。 セラピ―の大きな役割にはそんな葛藤を超えて、キャリア、もっと広い意味では「人生」に悔いのない選択をする助けがあります。 妨げるものが解消された時、老子が説くような無為自然の流れに乗れるでしょう。
◆キャリア形成とキャリアドリフト
先日、埼玉県の短大の授業で、学生さんにお話しする機会がありました。
テーマが「キャリア形成」だったのですが、私が会社員を辞めて、フリーランスのセラピストをしていることが、一つのキャリア形成パターンとして見てくださったようです。
その時に担当の先生が、「キャリアデザイン」の言葉と対比して、キャリアドリフトと言う言葉を紹介されました。
キャリアドリフトは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツがの約20年前の「 計画された偶発性理論(プランドハップンスタンスセオリー)」によるもので、彼は「キャリアの8割は、予想しない偶発的なことによって決定される」と言います。ドリフト(drift)とは「漂流する」という意味です。
人生には予想外のことが起こります。それゆえ「キャリアはデザインするものではなく、デザインするのはむしろ危険である。それよりは、現在の状況の中で最善の努力をしていれば、偶然の中でそれが生きてくる」というクランボルツの考え方はとても興味深いと言えます。
そうしてみると私は、きっとそのドリフトの良いモデルだったのでしょう。
◆キャリアドリフト、自分の場合
私のケースを振り返ると、新卒で百貨店に勤務。営業を経て、海外ブランドのファッション販売を担当。
売上は落とさなかったもののファッション販売は合わなくて体調を崩すほど。
一計を案じて異動をお願いし、配属先はたまたまカルチャースクールでした。
カルチャースクールは、私の定義では「自分探しをする場所」。
趣味だけでなく、そこで資格や技術を身に着けた人が、新たな人生へシフトする場でした。
そのサポートをする役割が、私にとってはやりがいであり、生きがいとなり、すっかりワーカホリックになってしまいました。
そんな中で立て続けに二度、病に倒れ、何とか復帰したのもつかの間、なぜか今度はその部署が閉鎖を会社が決めました。
病気は二度ともがんでしたが、再発の不安もあって、部署閉鎖は生きる意味を奪われたようで、病気以上にショックでした。
正社員だったので、異動すればいいことでしたが、この会社ですることはやり尽くした感があって自ら退職。
しかし、後で考えるとこの閉鎖すら、あらかじめ人生に仕組まれたことのようにさえ思える転機となりました。
私は病気の再発の可能性を抱えてそのまま同じような仕事を続けていたら、今も命があったのか、わかりません。
次のページ◆ 本来の流れを妨げるもの
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2018.10.24
2015.07.17
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。