フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

2018.06.29

ライフ・ソーシャル

フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
株式会社アシロ

フレックスタイム制とは、定められた労働時間の中であれば、労働者自身が出社時間と退社時間を決めることのできる、変形時間労働制のうちの一つです。フレックスタイム制という特殊な勤務体系によって様々な問題が出ているのも現実です。今回は、フレックスタイム制の仕組みと、それに関連したメリット・デメリットを解説していきます。

これは、フレックスタイム制に限ったことではありませんが、メリハリの無い働き方をしてしまう人がいます。

フレックスタイム制導入の実態

このように、比較的に会社にも労働者にもメリットの多いフレックスタイム制ですが、実際のところどれほどの企業がフレックスタイム制を導入しているのでしょうか。厚生労働省の「就労状況総合調査結果」によると、以下の調査結果が出ています。

フレックスタイム制導入企業の割合と推移

フレックスタイム制導入の推移
フレックスタイム制を導入する企業は、上の図ように5%前後を推移しています。少しずつですが減少傾向にあり、人気があるとは言え、導入している企業が減っていっているということが事実として考えられます。

平成20年が大幅に下がった理由としては、世界金融危機により、フレックスタイム制を導入する余裕がない企業が増えたことが背景として考えられます(あくまで憶測です。)

フレックスタイム制は従業員数が多いほど導入している割合が多い

従業員数

導入率

1,000人以上

21.7%

300~999人

13.2%

100~299人

6.9%

30~99人

2.2%

参照:「H27年就労概況時間制度|厚生労働省」

また、従業員数によるフレックスタイム制を導入している企業の割合ですが、平成27年の調査によると、上記のように従業員数が多い企業ほどフレックスタイム制を導入している傾向にあります。

これは、上記でもお伝えしたように、事業規模が大きくなるほど部署も複数に増え、その一部の部署でフレックスタイム制が導入されていると考えられます。

フレックスタイム制導入が多い業種と少ない業種

順位

業種

導入率

TOP1

情報通信業

17.0%

TOP2

複合サービス事業

14.4%

TOP3

学術研究、専門・技術サービス業

13.7%

WORST3

建設業/医療、福祉

2.0%

WORST2

教育、学習支援業

1.9%

WORST1

生活関連サービス業、娯楽業

0.6%

参照:「H27年就労概況時間制度|厚生労働省」

また、業種別にフレックスタイム制の導入が多い業種、少ない業種を見てみると、以上の結果になりました。特にフレックスタイム制を多く取り入れている情報通信業(IT)は、比較的新しい企業も多く、積極的にフレックスタイム制を取り入れていると考えられます。

下位になった業種の傾向としては、1日の稼働時間も多く、土日関係なく働くことも多い業種とも言えます。ただ、専門的もしくは対人的な業務内容が多いので、出退勤時間が決まっていないフレックスタイム制ではなく、変形労働時間制(シフト制に近い)で対応している企業が多くなっています。

次のページフレックスタイム制でも残業代は出る

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