フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

2018.06.29

ライフ・ソーシャル

フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
株式会社アシロ

フレックスタイム制とは、定められた労働時間の中であれば、労働者自身が出社時間と退社時間を決めることのできる、変形時間労働制のうちの一つです。フレックスタイム制という特殊な勤務体系によって様々な問題が出ているのも現実です。今回は、フレックスタイム制の仕組みと、それに関連したメリット・デメリットを解説していきます。

週ごと、月ごとに労働時間の設定をする期間を清算期間と言い、フレックスタイム制を取り入れている会社は、清算期間での総労働時間が通常の働き方の定時のような基準となります。

清算期間から総労働時間の計算方法

この総労働時間は、社内で設定することが可能ですが、上限があります。これは、通常の働き方での基準になっている法定労働時間(いわゆる定時)内に収まるようにしなければなりません。

聞いたことはないでしょうか?1日8時間以内、1週間40時間と定められているものです。ですので、フレックスタイム制の会社は、40時間もしくは月に◯時間以内に総労働時間を定めなくてはなりません。

月の法定労働時間は月ごとの日数で変わりますので、以下のようになります。

28日

160.0時間

29日

165.7時間

30日

171.4時間

31日

177.1時間

計算式としては

総労働時間 ≦ 清算期間(日数) ÷ 7日 × 40時間

が成り立ちます。

特例措置対象事業場は週の法定労働時間が44時間になる

一部、週の法定労働時間が長くなる「特例措置」というものがあり、この場合、週の法定労働時間が44時間になります。対象になる事業場は、以下のような業種で、常時労働者の人数が10名未満の事業場に限ります。

業種

主な内容

商業

卸売・小売・不動産管理・出版などの商業

映画・演劇業

映画の映写・演劇などの興業

保険・衛生業

病院・診療所・保育園・老人ホームなどの社会福祉施設

接客・娯楽業

旅館・飲食店・理美容・遊園地などの接客娯楽

清算期間の総労働時間を出す計算も、上記の式の「40時間」を「44時間」に変えて計算します。

総労働時間を超えれば残業代が発生する

総労働時間に関して、ご理解いただけたでしょうか。簡単に説明すると、この総労働時間を超えれば、それは残業となり、残業代が支払われなければなりません。詳しくは下記の「フレックスタイム制でも残業代は出る」で言及します。

総労働時間に満たなかった場合は賃金カット、もしくは翌月へ労働時間を繰越できる

フレックスタイム制を取り入れていると、極端に労働時間が少ない労働者も出てきます。極端な例を上げれば、コアタイムしか出勤せず、毎日5時間で働くような労働者です。

その場合、総労働時間に不足した労働時間を翌月に繰り越したり、不足分の賃金をカットすることが出来ます。

会社全体でフレックスタイム制を取り入れる必要はない

フレックスタイム制には、向き不向きがあります。例えば、従業員数が揃わないと作業が進められないようだと、コアタイムでしか作業が進みませんし、お客様対応が主な業務だと、フレキシブルタイムに担当者不在が起きてしまいます。

次のページフレックスタイム制導入のポイント

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