2016.02.29
iPhoneの広告ブロックはメディアを殺せるのか?
動画広告・動画マーケティング専門メディア VIDEO SQUARE編集部
Crevo株式会社
iOS9からiPhone/iPadに導入されたコンテンツブロッカー。一般的には「広告ブロック」と呼ばれており、登場時は「(適切な広告収入が得られず)このままではメディアが死んでしまう」との話も出るほどでした。 リリースから約4ヶ月経ったいま、コンテンツブロッカーはメディアを殺すほどの影響を及ぼせたでしょうか?コンテンツブロッカーの役割を振り返りながら、解説していきたいと思います。
広告ブロックツールを使っているユーザーを拒否する機能を導入した話は記憶に新しいところです。
この拒否機能は、ニュースサイトにアクセスしてきたユーザーが広告ブロックツールを使っている場合、広告ブロック機能をオフにするか、
月額2.99ユーロの有料コースの契約を求める警告画面を表示するものです。
Axel Springerは、この機能を導入してから3週間後に行った会見で「アクセス数が300万件増加した」と発表しています。増加した理由は
拒否機能の導入が話題になったことにくわえ、ドイツはインターネットユーザーの3分の1が広告ブロックツールを利用していることが背景にあると考えられます。
コンテンツブロッカーの影響はモバイル広告の1.3%
それでは日本のメディアでも、同じようなことが起きるでしょうか?
データから見るに、その可能性は限りなく低いと言えます。というのも、すでに日本でコンテンツブロッカーを必要とするユーザーには
アプリが行き渡り始めたからです。
当初人気だったコンテンツブロッカーアプリ"Crystal(有料)"は、すでにダウンロードランキングから姿を消そうとしています。
代わりに人気が出てきた"Safari上の広告をブロックする -Adバスター(同)"も、そのダウンロード数に陰りが見え始めました。
iPhoneの有料アプリランキングで上位に入るには、1日あたり7,000ダウンロード程度が必要と言われています(※6)。
どちらのアプリも1ヶ月ほどは1位を維持できていましたが、そのダウンロード数は甘く見積もっても30~40万程度でしょう。
この数字では、メディアにダメージを与えられるとは考えられません。
なお、UBSのアナリストの分析によると、コンテンツブロッカーが2016年にもたらす影響は10億ドル(約1,234億円)と推測されています。この金額は、世界のモバイル広告費全体から見るとたったの1.3%です(※4)。
日本のモバイル広告費は3,450億円(2014年)のため(※5)、この1.3%は約45億円となります。金額にすると大きいですが、
日本の広告市場は前年比で166%成長しており、コンテンツブロッカーの影響が出る場所はかなり限定的になると思われます。
Apple、Facebookはニュース配信へ
そして、コンテンツブロッカーの導入を決めたAppleも、ただメディアから売上を奪おうとしているわけではありません。
日本ではまだ利用できませんが、Appleの新しいアプリ"News"に記事を配信することで、メディアが広告収入を得られるようにしています(アプリのためコンテンツブロッカーの影響を受けません。ただしAppleに手数料30%が徴収されます)。
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