2016.02.01
マーケティング・プロデューサーの時代
動画広告・動画マーケティング専門メディア VIDEO SQUARE編集部
Crevo株式会社
この10年ほどは、マーケティングが時代の変化に直面して、その対処に追われ、またさまざまな混乱を生んできたように思います。 ようやく、私達が直面している本質的な課題が何なのかの共通認識が生まれはじめてきているのではないでしょうか。
インターネットはメディアの勢力地図に変化を起しただけではありません。広告を見て、検索で確かめ、ほかの商品と比較して購入を決める。このように、購買行動の動線を変えてきたこと。さらに、ユーザーの体験がインターネットで共有されることで、商品価値をも左右するようになってきています。
直接はコントロールが出来ない消費者が、マーケティングのなかで重要なポジションを占めるようになた以上、商品やサービスの魅力や価値は、売り手からの一方通行だけでは成り立たちません。
否が応でも、商品やサービスの価値を消費者とともに創造していく時代なのです。
インターネットは売り手と消費者をつなぎ、消費者との絆を深めるための「場」として、その意味は大きくなってきます。
ネットでコンテンツのリッチ化、「場」の臨場感を高める流れが当然起こってきます。その鍵をにぎるのが動画であり、体験の共有ができる「場」のオープン化でしょう。
ネットの特性を生かそうとしたさまざまな試みがなされてきました。アクセス獲得を狙った手法に振り回されたり、さまざまな混乱もありましたが、ようやく本質的な課題に焦点が集まり始めていると感じます。
マーケティングを有機的に統合するマネジメント
こういったメガ・トレンドのなかで、マーケティングの世界で求められるもの。
それは、消費者の心と共鳴できるパワーをもったビジョンや理念、また世界観を生み出し、それを体感できるユーザー体験の舞台を、商品やコミュニケーションを通じて組み立てる能力だと感じます。
とくに、優れたマーケティングは、優れたビジョンやミッションのシナリオを持つことから生まれます。
そのことは、赤字化したユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再建したドラマが物語っています。入場者増の快進撃が続き、2015年10月の入場者数は175万人。開業以来の記録を達成したばかりか、東京ディズニーランドの同月の入園者数160万人を上回る快挙でした。
その快進撃を実現したリーダーは、プロクター&ギャンブルから転職し、USJの執行役員マーケティング本部長となった森岡毅氏。
そのドラマは著書『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』でリアルに伝わってきます。森岡氏がどのようなUSJを実現するのかでビジョンの転換がすべてのスタートだったのです。それをご本人が語っておられます。
・・・私は社内にはびこる最大の敵「間違ったこだわり」に、まず宣戦布告することにしたのです。それはハリウッド映画のテーマパークとして始まったユニバーサル・スタジオ・ジャパンのブランドを、長期的に生存可能なように再定義すること。
つまり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというブランドを、「映画の専門店」という妄想から、「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることでした。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
森岡毅著・角川書店より引用
次のページ参考記事
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2016.02.08
2016.02.22
動画広告・動画マーケティング専門メディア VIDEO SQUARE編集部
Crevo株式会社
VIDEO SQUARE(ビデオスクエア)では、動画を使った広告・マーケティングの活用事例や最新情報、トレンド、市場動向、企画・制作のポイントなど、動画に関わる全ての方の実務に役立つ情報をお届けしています。