<PEST分析のT> メタボ検診のデータが、無駄になったと報道されていた。メタボ=ウエスト85センチが正しかったのかどうかを判断する上では、極めて残念な一件である。ただ、医療がビッグデータ活用により変わろうとしていることは明らかなトレンドである。ビッグデータ活用により医療は、どう変わるのだろうか。
ビッグデータが教えてくれる理想の治療法
ある病気の手術法が2種類あるとする。これを仮にA式、B式と呼ぶことにしよう。もし、あなたがこの病気になった場合、あなたに施される手術式はどのようにして決まるだろうか。
答えは「あなたが手術を受けることになった病院によって決まる」である。なぜなら術式の違いは、ほとんどの場合、学閥の違いだからだ。
つまりA式はある大学系列で使われており、B式は別の大学系列で採用されている。従って、入院した病院が所属する系列によって、術式も決まってしまう。執刀する医師は、どちらかの術式しか教わっていないからだ。
こうした状況を、医療ビッグデータが変えつつある。
7月30日付の日本経済新聞に『がん最適治療を人工知能で』との記事が掲載されていた。東大が、米IBM社製のコンピュータ・ワトソンを活用し、患者のデータを分析して、遺伝子情報を元に個別患者に対する最適な治療方針を決める。
医療ビッグデータが整備されれば、医療の現場は大きく変わるだろう。例えば外来患者を診察室に迎えた医師が、患者の年齢、性別、体重、血圧、既往歴、生活習慣などを入力すれば、たちまち同じ条件を持つ患者のデータがリストアップされる。それらの患者に対する治療結果もひと目でわかる。こうしたデータを元に、医師は目の前の患者と向かい合い、治療方針を決める。
医療ビッグデータは、医療の質を飛躍的に高めてくれるのだ。
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