独自の「ホスピタリティ・ロジック」を開発された、プレディーカ・マネジメント代表取締役社長の石丸雄嗣さんに「ホスピタリティとは何か?」について解説していただきました。
松:広告で見せかけの評判を作ることができますが、本当の評判は1人ひとりの中に形成されるものと言えますね。
石:はい、その通りです。6番目の違いは、サービスは負いたくない責任を相手に負わせます。一方、ホスピタリティは負いたい責任を自ら負います。
松:例えば・・・?
石:飲食店で、注文したメニューをウェイターさんが復唱して「よろしかったですか?」と聞くのは、注文したのはそちらであり、何かあっても責任はあなたにありますよ、と責任を転嫁するためのものであることが多いです。注文されたものをしっかり聞いてお持ちすることは自分たちの責任と考えていれば、わざわざ再確認する必要がないはずです。
松:「言われたことしかやらないよ」という意思表示のようにも感じられますね。
石:そうですね。7番目も同じような違いです。サービスは時間まで働く、言い換えると時間外は働きたくない。一方、ホスピタリティは相手の望みが叶うまで働きます。
松:サービスの場合、人々はできるだけ働きたくないということですね。
石:はい、サービスは賃金労働になっているのです。「苦役」なんですよね。だから、言われたことしかやらない、言われてもやらない、といったことになっていきます。
松:8番目の違い、サービスは「せねば」をするというのは、しなければならないことは仕方がないから、いやいやするという感じですね。
石:そうです。しかし、ホスピタリティは、お客さまに喜んでほしいから、役に立ちたいから、つまり8番目の「したい」をするから、就業時間内、時間外といった区別はしないのです。
松:ホスピタリティを実践できれば、もはや仕事は「苦役」ではなく、楽しい、わくわくするものになるんでしょうね・・・
石:はい、やらずにはいられないという感じです。9番目の違いにあるように、ホスピタリティでは「する」ためを考えて、します。つまり、「こんなことをしたらお客さまは喜んでくれるのでは?」と常に考えてやる。一方、サービスはしなければならないことをやっているので、なるべく「しない」ことをするようになります。お客さまから呼ばれても返事をしない、対応しないというのは、「しない」ことをしているのです。そのほうが楽だから。
松:ファストフードチェーンではそんな感じですかね?
石:多くの場合、ファーストフードチェーンで働いているスタッフは、忙しくないほうが良いと思っている。お客さまが来ない方がうれしいわけです。仕事しなくて済みますから。サービスの発想だとこうなる。経営の立場からはとんでもないことですが。
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2020.05.12
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。