独自の「ホスピタリティ・ロジック」を開発された、プレディーカ・マネジメント代表取締役社長の石丸雄嗣さんに「ホスピタリティとは何か?」について解説していただきました。
石:はい。基本的には、均一の価値をできるだけ安く提供する、という考え方ですね。しかし、ホスピタリティは、コストを下げるというよりは、お客様によって求めるものが違う価値を提供することに注力します。
例えば、ホテルの場合、ビジネスパーソンが出張で求める価値と、家族連れがレジャーで泊まる場合では、ホテルに期待する価値が違いますよね。こうしたお客様個別の価値を大切にするのです。
松:ホスピタリティはお客様1人ひとりで異なるニーズに個別対応するということですね。
石:はい、そうです。2番目の違いは、すでにご説明しましたが、サービスは、自分たちが「良かれ」と思ってします。一方、ホスピタリティは、相手が「良い」と思うことをするのです。
松:サービスは自分本位、ホスピタリティは相手本位ということですね。
石:そうです。3番目の違いは、サービスは「お得ですよ」と先に言ってしまうけど、ホスピタリティは、「相手が得した」と思うことをします。
松:お得であるかどうかは、自分たちではなく、お客さまが決めることだと。
石:価格が安いからといって、かならずしもお得と感じるわけではありませんし、価格が高くても、それを上回る素晴らしい体験をすることができたら、お得と感じることがありますから。
松:こちらが「おもてなし」をしたからといって、お客さまが「もてなされている」と感じるかどうかは、お客さま次第であるのと一緒ですね。
石:はい。そして4番目の違いは、サービスでは'より多く売れる'ためのニーズを探しますが、ホスピタリティでは、相手のニーズが満たされることを探します。
松:あくまで、自分たちの製品を売ることが目的なのがサービスであり、そのために自社商品が解決できるニーズを探そうとするということですね。一方、ホスピタリティでは、お客さまのニーズを解決することに注力する。もし自社製品がお客さまのニーズを充たさないということがわかれば、他社製品をお勧めすることもありますね?
石:はい。他社製品をお勧めするような誠意ある対応をしたとすると、目先の売上にはならないかもしれません。しかし、お客さまの信頼を得て、長期的な売上には確実につながっていきます。
松:本当の意味での「顧客志向」を実践するのがホスピタリティと言えますね。
石:はい。次に5番目の違いです。サービスは勝手に売れるための評判を重視します。一方、ホスピタリティでは、1人ひとりのお客さまの評判の積み重ねで売れると考えます。「評判」、言い換えると自社製品に対する高い評価や賞賛といったものは、漠然と生まれるものではない。一人ひとりのお客さまの個別ニーズに丁寧に対応した結果、お客さま個々に高い評判が確立される。そんなお客さまを1人ずつ増やしていけばいいのです。「自社の評判を高める」という全体的なアプローチはそもそもありえません。
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2020.05.12
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。