2014教育サービス・フランチャイズ動向【後編】

2014.06.24

ライフ・ソーシャル

2014教育サービス・フランチャイズ動向【後編】

今野 篤
株式会社経営教育研究所 代表取締役

多様化する教育に応じて、フランチャイズの選択肢も個別指導一本から複数パッケージを選択できるようになってきた。英会話英語教室や民間学童に加えて、新たに理科実験や科学教室、そろばん、サッカーまで加わり、新しい教育FC市場を形成中である。

 団塊世代の退職や終始雇用の崩壊により起業者が増え、彼らを狙ってFCに参入する塾や企業が後を絶たない。個別指導FCビジネスは既に価格競争に陥っており、この動きはますます加速しそうだ。今や小資本起業は当たり前。セルモやヒーローズのようなベンチャー塾に加えて、大手でも小資本で開業できるプランがあるほどだ。

 流行のデジタル教材を活用するのは、セルモやヒーローズ、ハイブリッド型授業を謳うフィスゼミなどだ。デジタル教材もIT技術の進化と共に拡大傾向にあり、今後、ますます主流になることはまず間違いないだろう。

 個別指導以外のFCパッケージを教室に併設して集客を狙うのが、明光義塾、ITTO個別指導学院、スクールIEなどの大手個別指導FCだ。数年前までは、教室に併設するパッケージと言えば、英会話やPC教室が中心だったが、時代背景を受けて学童タイプや英語教室が増えてきた。

 少子化の進行や教育の多様化により、幅広い年齢層から生徒を集客し、多種多様な教育を受けられる総合的な塾が、大手FCを中心にますます増えてくるだろう。その一方で、数学やスポーツなど専門領域に特化した直営塾も出現し、今後、総合と専門の2系列化が進むものだと思われる。

 このように、各社ともそれぞれの思惑があり、当然戦略も戦術も違う。しかしながら、少子化と市場の寡占化がさらに進めば、FC塾市場も激戦から逃れられないことは間違いない。FC塾市場はビジネスモデルの変革期に入ったと言えるだろう。

FCパッケージを組み合わせる

 今後多彩なFCパッケージが出てくると、ひとつの塾に複数のパッケージを導入するケースが多くなって行きそうだ。ブランドやパッケージをうまく組み合わせ、トータルコーディネートが成功すれば、FCであってもオリジナルで魅力ある塾創りができる。

 自社にマッチングしたFCパッケージを導入し、魅力ある店舗が並ぶショピングセンターのように教育コンテンツを取り揃え、地域に合わせて提供する教育のグランドデザインをするのだ。

 導入対象になるパッケージはFCだけに限らず、市進ウイングネット(市進HD/千葉)のようなボランタリーチェーン(VC)展開方式がある。VCとは日本フランチャイズ協会によると、FC契約書には、店舗運営方法、契約の終了や解約に関する項目等、詳細に記述されているのに対し、VCの契約には具体的な約束事は少ない場合が多いといった相違がみられる。

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今野 篤

株式会社経営教育研究所 代表取締役

教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。

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