多様化する教育に応じて、フランチャイズの選択肢も個別指導一本から複数パッケージを選択できるようになってきた。英会話英語教室や民間学童に加えて、新たに理科実験や科学教室、そろばん、サッカーまで加わり、新しい教育FC市場を形成中である。
■民間学童型保育
アフタースクールと呼ばれる民間学童型保育は、働く女性の増加に伴い、近年、参入する企業が塾外からも相次いでいる。
厚生労働省発表による2013年学童保育の実施状況調査結果によると、学童保育数は2万1635か所(前年比789か所増)、入所児童数は88万8753人(前年比4万1786人増)と増加傾向にあるが、まだ不足の状態が続いている。政府は2017年度末までに利用児童を129万人に増やしたい意向があり、民間学童にとってビジネスチャンスにもなる。
FCで先行しているのが、バイリンガル学童保育タイプのkidsDUO(拓人/千葉)であり、FC展開で1000教室を目指す。学童クラブの機能を兼ね備えた長時間預かり型学習塾の明光キッズ(明光ネットワーク/東京)は、同社が展開する明光義塾とのシナジー効果を図る。学習としつけで生きる力を掲げる学童クラブアウラ(学凛社/東京)は、保育に進学塾の学習指導や理科・自然・農業体験を取り入れる。
■その他
教育が多様化するにつれて、続々と学習周辺サービス領域のFCパッケージが増えている。
ヒューマンキッズ(ヒューマンHD/東京)は、理科実験教室やロボット教室を全国に530教室展開中。クレファス(ロボット科学教育/神奈川)は、LEGO社のキットを使ったプログラミング授業を取り入れている。
近年復活したそろばんは、そろばん塾ピコ(京大個別会/京都)いしど式そろばん(イシド/千葉)に勢いがあり、既に全国展開を始めている。インターネットそろばん教室や海外でのそろばん普及に努め、世界でのそろばん普及を目指す。
また、子どものやる気や続ける力を育む 7つの習慣(FCエデュケーション/東京)、プロコーチが教える明光サッカースクール(明光ネットワーク/東京)などもある。
市場の多角化に乗り出した各社の新事業戦略
フランチャイズ(FC)・ビジネスは2つの顧客を持つ。一人は、未来のオーナーになる加盟希望者。もう一人は生徒・保護者である。つまり、FCは加盟者に対して訴求力のあるパッケージになっていなければならないし、生徒を獲得できるだけの商品やサービス力がなければならない。そのため、各社共に本部機能やFCパッケージ、商品・周辺サービス(付加価値)の差別化に熱心である。
現在の各社の方向性を図にプロットしてみた。横軸は新商品やサービスといった事業の多角化を、縦軸は地域拡大といった市場の多角化を表している。それぞれ事業の多角化は顧客の対象年齢層の拡大、市場の多角化は新市場での展開の様子を示した。図から参入が止まらない新規個別指導FCや、大手中心に総合型学習FCに変貌する様子がわかる。
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2015.07.17
2009.10.31
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。