「試供品配布」、いわゆる「サンプリング」と言えば、 長い間、路上での無差別配布が主流でしたね。 しかし、この方法だと、 対象商品を実際買いそうもない人にも お試し品が渡ってしまいます。 このため、販売促進効果がもうひとつ。
というわけで最近増えてきたのが、
登録会員制で詳細なプロフィールをあらかじめ把握しておき、
試供品のターゲットユーザーの属性に合致していて、
かつ自分から欲しいと手を上げた人だけに試供品を渡す
ビジネスモデルです。
例えば、今年07年7月には表参道に、
試供品がもらえるリアルな店舗「サンプル・ラボ」が
オープンしてます。
さて、こうした新しいサンプリングを展開する企業の中でも、
とりわけ面白い事業をあれこれ手がけているのが、
(株)ルーク19
http://www.luke19.jp/index2.html
です。
同社は、試供品を配布したい企業と、
試供品をもらいたい消費者を結びつけるWebサイト、
「サンプル百貨店」
http://www.3ple.jp/
を2005年8月から運営。直近の登録会員数は30万人です。
実は、私もこのビジネスモデルには以前から注目しており、
一年ほど前からいちおう会員になってます。
会員のおよそ8割が女性、その多くが主婦のようですので、
私のようなオヤジは、やはりどうも場違いなんですけど・・・
「サンプル百貨店」の基本的な仕組みは、
同サイトで行われるサンプリングに、擬似通貨の
「サンプラー」(=ポイントですね)
を使って応募するというもの。
例えば、ある試供品をもらうためには「100サンプラー」
が必要といった具合です。このため、会員たちは、
「サンプラー」を貯めるのに必死なんだそうです。
サンプラーは、試供品を使用した後のアンケートに
答えるとか、ブログに記事としてアップしたことに対する
報酬としてもらえます。
この仕組みによって、試供品を単に配布するだけでなく、
試用者の調査や口コミプロモーションまでつなげられる
というわけです。
また、登録会員は、サンプル配布だけでなく、
新商品開発にも協力しています。
例えば、大正製薬の女性向けの栄養ドリンク、
「リポビタン・ファイン」
http://lipo-club.com/
では、開発段階からサンプル百貨店の女性会員が、
「パッケージはピンクのほうが手に取りやすい」
など、約8000件の意見を寄せた内容を元に、
製品仕様が決定されたそうです。
同製品の発売は05年10月でした。
大正製薬では、発売後しばらくはサンプル百貨店以外での
広告宣伝はしない方針で臨んだようですが売り上げは順調に伸び、
今年5月から本格的なマーケティングを展開しています。
ルーク19の代表取締役社長、渡辺明日香氏によれば、
単なる試供品配布にとどまらず、それ以上の新たな価値を付加する、
そんな価値創造型のサンプリングに取り組んでいるのだそうです。
では、明日は、バーチャルな「サンプル百貨店」に、
リアルな場を組み合わせた同社のユニークなイベントや
ビジネスモデルをご紹介したいと思います。
*以上の記事は、ルーク19、サンプル百貨店についての公開資料、
および、渡辺明日香氏の講演(IMプレスビジネスセミナー)を
元に書きました。
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2007.11.30
2008.03.06
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。