実刑判決を受けた刑事被告人が、刑務所で従事するのが「刑務作業」です。刑務作業では、家具、革靴をはじめ様々な製品が作られています。 しかし、昨今の不景気やグローバル化等により、刑務所発の製品である「刑務作業品」の売れ行きが低迷。 こうした状況を打破すべく、人気キャラクターを採用したり、ブランディングに取り組む刑務所が登場しています。
長野刑務所に収監されている堀江貴文氏も、彼のメルマガを読むと、刑務作業にがんばっていることがわかります。刑務作業では、さまざまな製品づくりに携わっていますが、例えば「手さげ紙袋」を作っているようです。
刑務作業に対する報酬は、熟練度によって上がっていきますが、非常に安いものです。刑務作業を始めたばかりの2011年7月のホリエモンの作業報酬は618円でした。(同年9月は901円に増額してます!)
刑務作業は、職業訓練を通じ、出所後の社会復帰の可能性を高めることが目的ですので報酬が少ないのは仕方ないところです。
さて、このように人件費が極めて低いことから、刑務所発の製品は、国内メーカーのブランド品よりも半分程度の価格で販売可能。
デザイン的にはいまひとつで、どうしてもネガティブなイメージがつきまとうものの、品質、安全面では大手メーカーの製品と遜色ないため一定の人気があったようです。
ところが、刑務作業の主要な発注先である、民間の中小企業が長引く不況により倒産したり、刑務所よりも人件費の安い東南アジアに発注を移すなどしたことから、刑務作業が激減。
このままでは、受刑者に技術を習得させる機会がなくなってしまうと、新たな取り組みを始めた刑務所が現れているようです。
日経ビジネス(2012.12.10)の記事によれば、栃木県・黒羽刑務所では、
「ハローキティ」のダルマ
の製作に乗り出しています。
黒羽刑務所では、元々「黒羽だるま」を製作していたそうですが、サンリオのライセンス許可を得て
「はろうきてぃだるま」
の製作に着手。なかなかの人気のようです。
こちらに写真が掲載されていますが、とてもかわいいですね。
黒羽刑務所では、人気キャラクターを採用することで製品の魅力を高めることに成功したというわけです。
一方、オリジナルブランドを開発して、爆発的な売上を記録しているのが、函館少年刑務所の
「マル獄シリーズ」
です。
チョイ不良(ワル)風」の布製品。
刑務作業品としては初めて「登録商標」を行なっています。
「マル獄シリーズ」が購入できるネットショップがありました!
マル獄シリーズは毎年ラインアップを拡大、現在は55品目に上っています。
さて、「マル獄シリーズ」成功のヒミツは、刑務作業を担当する刑務官が、
従来の刑務作業の概念を打ち砕いたことにあったようです。
それは、刑務作業品のネガティブなイメージを逆手にとったこと。また、民間のデザイナーのアドバイスを受け、時代のニーズを取り込んでいること。若年層を意識することで、ネットでのクチコミも生んでいること、などです。
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2013.03.01
2015.07.13
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。