今月号はAKB48。来月はエヴァンゲリオン。何の話題かといえば、「月刊販促会議」の特集記事である。同紙はれっきとした販促・イベント・SP(Sales Promotion)の専門誌である。その証拠に、AKB48の前の特集は「ネット×リアルの集客・販促」だったり、「シニア市場のプロモーション」だったり、と専門誌らしいカタイ切り口に徹している。アイドルやアニメを特集に据えた意図は何だろうか。
■チャネルをおさえる
前述のように、キャッチーな特集は離反客と新規客双方に対して、「まず手に取らせる」ことを狙ったものであるが、そのためにもまず、販売チャネルである書店に注文を出してもらい、店頭に並べてもらうことが欠かせない。ターゲットである最終消費者のことを意識しても、つい忘れがちになるのがチャネル対策だ。その意味では、専門誌でありながら書店主の誰もが知っているキャラクターを特集タイトルと表紙に持ってくるのは大正解であるといえる。その成果として「注文票にいつもは見かけない書店名を見つけたり、注文量がいつもと一桁違ったりという効果もありました」(関係者談)ということだ。
ターゲットの購買動機と行動を考えて離反客を取り戻す。新規客獲得のための間口を広げる。そして、そのために流通チャネルをおさえる。そうした展開は基本であるが、専門誌という枠にとらわれない柔軟な特集企画が今回の「月刊販促会議」の成功要因であるといえる。市場縮小は多くの業種でも共通の悩みだ。この事例からも学ぶべきだろう。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。