NTTコミュニケーションズより、『「親子間のデジタル・コミュニケーション」に関する調査レポート』というニュースリリースが配信されていた。『離れて暮らす親に… 広がる “デジタル親孝行” 親とのコミュニケーションはデジタル派 → 親孝行意識や帰省頻度 アナログ派よりも高』というタイトルの興味深い内容であるが、その狙いは何だろうか。
世界的な広告グループであるヤングアンドルビカム(日本では電通ヤングアンドルビカム)のブランド価値評価システム「BAV(Brand Asset Valuator)」によれば、 Brandの価値は4つの柱(4pillar)で構成されているという。Relevance(適合)、Differentiation(差異)、Esteem(尊敬)、Knowledge(知識)である。わかりやすくいえば、どれだけ消費者にとって自分にピッタリと感じることができ、他と差異化ができていて、尊敬に値する対象であり、よく知られているかという要素だ。
NTTコミュニケーションズの提供サービスに類似したクラウドサービスは他にもあるだろう。また、今後も登場してくるに違いない。Differentiationを発揮するのは難しい。そこで、消費者にいかにアピールするかが問題となる。
同社のブランド価値は、誰もが知っている知名度だ。その点においてKnowledgeは活かすべき武器である。だがそれだけでは具体的にサービス利用にはつながらない。そこで、「親孝行」というある年代にはキャッチーな切り口での訴求をしているのだ。つまり、「このサービスは自分にピッタリだ」と思わせる。Relevanceを高めているのである。
誰にでも受け入れられるサービスを提供するのは難しい。故に、ターゲットを絞り、そのターゲットの関心事を切り口で「自分にピッタリ」というKBF(Key Buying Factor=購入理由)を訴求するのがこのリリースの意図なのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。