「発ガン物質」に過剰反応してしまうわけ

2012.09.04

営業・マーケティング

「発ガン物質」に過剰反応してしまうわけ

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

今年(2012年)4月の発売以来、「特保」の認定を初めて受けたコーラ系飲料として好調な売れ行きを見せていた「キリン メッツコーラ」ですが、コーラの着色料として使われる「カラメル色素」の副産物として発生する「4-MI」(4-メチルイミダゾール)は、米・カリフォルニア州では「発ガン物質」として規制の対象となっていることが報道され、消費者の不安をかきたてていますね。

この報道を受けて、キリンでは以下のような公式発表を出しています。
(一部抜粋)

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カラメル色素はもとより、商品に含有される4-メチルイミダゾールの安全性については、国内および海外における各種公的機関の食品中の4-メチルイミダゾールに関する安全性評価に基づき評価しております。

当社見解としては、

「体重50kgの大人で、1日約16L(480mlペットボトル30本以上)」

を毎日飲み続けなければ、安全性に問題がないと判断しております。

また、表題の商品は特定保健用食品であり、1日あたり480mlペットボトル1本を摂取目安量としていることから、上述の安全性を確保できるものと判断しておりますのでご安心してお飲みいただけます。

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そして、もちろんメッツコーラは継続販売。
「明日のジョー」のコマーシャルも引き続き流れていますね。

実のところ、「4-MI」は、コカ・コーラやペプシコーラを含む、他のほとんどのコーラ系飲料にも含まれているもの。

メッツコーラだけが特別なわけではありません。

そもそも、私たちが普段口にしている天然の食物にも、発ガン性が認められるものがいろいろとあります。

私たちが気にしなければならないのは、

「どの程度摂取するか・しないか」

ということです。

要するに‘食べ過ぎたら’危ないよということ。

多くの場合、適量であれば、発ガンリスクは極めて低いと考えられるのです。

例えば、

「アルコール飲料」

もれっきとした「発ガン物質」として認定されている。

だからといって、好きなお酒を完全に止めてしまう人は少ないでしょう。多くの人は、過剰摂取しないように注意しながら、引き続き楽しむのではないでしょうか。
(私もそうします。酒なくして何が人生か!)

しかし、これが理性的な判断・行動であるにも関わらず、食品の安全性については、消費者が過剰反応してしまう傾向がありますね。

なぜ、私たちは過剰反応してしまうのでしょうか?

ひとつには、マスメディアが、断片的、一面的な情報しか伝えないため、いたずらに消費者の不安をあおりがちであるということがあります。

もうひとつの理由は、古代の祖先にさかのぼります。

医学がまだ発達していない時代、私たちは生き延びるため、「摂取量」に関わらず、とにかく「毒」があると判断される食物は食べないほうが良い、ということを学んできた。

次のページこうして、私たちは本能的に「毒」と感じられるものを避け...

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これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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