アイスクリームのPARM(パルム)シリーズ、累計販売数10億本。新商品の「PARM ピュレコーティング オレンジ&バニラ」も5月末の発売以来1ヶ月で年間目標の半数である710万本を売り、現在(取材時期:8月下旬)までの約3ヶ月間で既に年間目標を達成しているという破竹の勢いである。そんなパルムの「売れ続けるヒミツ」を森永乳業のブランド担当者にインタビューしてきた。
新たな商品は、「PARM(パルム) ピュレコーティング オレンジ&バニラ」。なめらかなオレンジアイスとしっとりしたバニラアイスを、オレンジ果肉とオレンジピールを含む果汁で包んだアイスバーの誕生だ。それは、パルムのコンセプトである「デイリープレミアム」=「日常のちょっとした贅沢」に、「リゾート」の要素を取り入れた新商品である。
面白いデータがある。森永乳業の調査によれば、実際に「パルム ピュレコーティング オレンジ&バニラ」を食べた70%以上の対象者が「リゾート地に出かけたようなちょっとした贅沢な気分を楽しんでいる」という。そこから「イエナカ・リゾート」というコンセプトが新たに設定された。
パルムの従来のターゲットは20~30代の独身有職女性。ピュレコーティング オレンジ&バニラは40~50代の中高生の子どもを持つ主婦をメインとしている。子どもが大きくなり、一緒に長期旅行をする機会も少なくなる。その「自分時間」を「イエナカ・リゾート」というコンセプトで狙っているのである。
リゾートを感じるパッケージ。「ガリガリ」ではなく、「しっとり」とした贅沢な食感。そしてすっきりとした味わいで従来のチョコ系のパルムともカニバリすることなく棲み分けが成立するスグレモノの商品なのだ。
プロモーションは寺尾聰をセレブレティーとしてテレビCMをスポットで投下したが、それ以上に口コミが効果を発揮した。試食会などで実際に口にしたファンがFacebookやTwitterなどSNSで自ら情報を拡散し始めたのである。根強いパルムのファンからの支持が証明されたのである。
現在、パルムブランドはアイスクリームの業界で5位だという。その中で、「男性を取り込んでいくのが課題なんです」と担当者は今後の課題を語った。パルムのブランド認知率はまだまだ低く、特に男性のそれが低いという。パルムの最大の武器は「デイリープレミアム」という明確なコンセプトだ。それをどのように男性向けに展開していくか。今後も挑戦が続く。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。