今朝の日経産業新聞(2012/08/22)のコラム「Smart Times」では、ビッグデータの 「革新性」 について、石黒不二代氏(ネットイヤーグループ社長)がとてもわかりやすい解説をしてくれていました。
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1.データ量が多いこと
アマゾンのレコメンデーションが高い効果を発揮しているのは、顧客数が多くデータ量が豊富であり、「オススメ」の正確性が高いから。
ビッグデータはサンプルデータではなく実質的にユーザーの「全数データ」です。したがって、代表性やサンプル誤差の問題はなく、データ量が多ければ多いほど分析精度が高まる。例えば、レコメンデーション(これは、顧客が欲しいと考えられる商品を予測し、提示する予測モデルのひとつ)の正確性は増すのです。(松尾注)
2.購買以前のデータが取れるようになったこと
購買以前のユーザーの行動は以前は簡単に把握できなかった。しかし、ソーシャルメディアの投稿や、自社サイトでのサイト内行動分析などを通じて、購買前の
「潜在消費」(例えば、どんな商品に「関心」が集まっているか)
の動向が(容易に)わかるようになった。
3.コンテクストや文脈がわかること
要するに、ユーザーが
「なぜ(why)この商品を購買するに至ったのか」
が把握できるようになったということです。
石黒氏が挙げている例は以下のようなものです。
○○さんはスカートを購入した。
しかし、実は予算が限られていたので、スカートではなくて本当はブラウスが欲しかったのです。
ところが、マーケターは従来、
「○○さんがスカートを買った」
という顧客・販売データだけに基づいて、
「○○さんにスカートのカタログを送る」
という施策を打つしかなかった。
これが的外れな施策であることは一目瞭然。
でも今なら、ソーシャルメディアで○○さんが
「今度はブラウスが買いたい」
という投稿を見て、ブラウスのカタログを送ることができる。
今は、このように、ユーザーについての多面的な情報をもとに、
「ユーザーの好き嫌い、購入理由」
についてのデータを収集・分析して、より効果の高い施策を打てるわけです。
4.リアルタイムであること
人の気持ちは移ろいやすいものです。
日々データが更新されるソーシャルメディアのコメントやサイト行動を分析することによって、最新のユーザーニーズを把握し、すばやく、営業や商品開発にフィードバックできるようになっています。
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石黒氏は、
“このどれもが企業にとって革新的なことなのだ。 もし革新的だと思わない人がいたとすれば、それは 日本企業が今まであまりにデータをおろそかにしてきた名残だろう。”
と述べています。
実際、欧米企業と比較して日本企業は、
「データ分析・活用」
に対して及び腰だったことは確かです。
しかし、データ分析を最大限駆使して勝負してくるグローバル企業に対抗するためにも、日本企業も
「ビッグデータの分析・活用」
に本腰を入れなければならないでしょう。
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。