販売台数50万台突破だという(ホームページより)。コーヒーマシンとしては異例の売れ行きではないだろうか。その狙いを勝手分析してみよう。
■日本市場におけるインスタントコーヒー市場と顧客ニーズの変化
かつては「オトナの飲み物」として、全国の家庭どこにでもあったネスカフェのボトルコーヒー。その変遷と今日に至る消費者ニーズとはどうなっているのだろうか。インスタントコーヒーも、従来と売れているモノも飲まれ方も様変わりしているのではないか。そこには、日本の人口動態(家族構成)の変化が反映されている。少人数・単身世帯の増加と共に個食化が進みボトルコーヒー自体の売上は減少している。
■競合の変化
ボトルコーヒーに変わる商品の開発を各社が進めている。スターバックスなどが切り拓いた、多様なバリエーションでの外飲みコーヒーはすっかり定着した。家飲みコーヒーでも単純な「粉末とお湯とミルクを入れて混ぜる」というモノではなく、マシンを使うタイプ(自社内競合も含め)、スティックタイプなど多様な商品が展開されている。実は、業界では家飲み用の「コーヒー戦争」ともいわれている今日の環境なのである。その中で強力なのがAGFのスティックタイプである。流通チャネルでも多数のフェイスを確保し、流通業界筋の情報では売上ではネスレを軽く上回るという。それにつれ、普通のボトルコーヒーの値崩れは顕著であり、客寄せのための商品、「ロスリーダー」に設定されることもしばしばだ。ネスレにとってはうれしくない事態であるはずだ。
■画期的なインスタントコーヒー「エコ&システム」の登場
競合環境を考えると、1つには【手軽←→本格派】という味わいの軸と、【サードプレイス←職場等外出先→家庭内】という飲まれる場所・シチュエーションの軸が考えられ、各社が独自性を出そうと考えている。
その中で、ネスレは専用カートリッジを用いる「ネスプレッソ」や「ドルチェグスト」で【超本格派・家庭内】というポジショニングを確保しているが、専用カートリッジを用いるという点において流通面での弱点(消費者にとっては不便)がある。そこで、従来流通に乗せられるインスタントを用いて本格派の味を出すという「エコ&システム」とその武器である「バリスタ」が考案されたのではないか。
「エコ&システム」は従来のガラスびんのボトルのインスタントコーヒーに比べると画期的な商品だ。パッケージは廃棄の際のロスが少ない「紙」でできている。中身は普通のインスタントコーヒーであり、普通にスプーンでカップに入れてお湯を注いで飲むこともできる。しかし、真骨頂は「バリスタ」にカートリッジ的に直結して用いたときにある。無駄な圧力がかかったりしない理想的な状態でコーヒーマシンにインスタントコーヒーが供給できる。つまり、「バリスタ」は「エコ&システム」のボトルがあって初めて真価を発揮するのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。